入籍前に「同棲」は不要! 結婚と同棲の知られざる関係

交際相手との結婚が視野に入ると「お試しで一緒に暮らしてみたい」「結婚前にパートナーを理解するために同棲しておきたい」などと考えたことがある人も多いと思います。
また、「結婚する前に同棲したほうがいいよ」とアドバイスをもらったことがある人もいるかもしれません。
結婚前の同棲は必要なようにも思えますが、すでに結婚している人は、どれくらい入籍前に同棲を経験しているのでしょうか?
本調査では、既婚者を対象に「入籍前同棲」に関するアンケートを行った結果、明らかになった入籍前同棲の有無や期間、出会い方別の実態などを紹介します。
入籍前同棲、既婚者の半数以上が「経験なし」
既婚者728名を対象に、アンケートで「入籍前に結婚相手と同棲したか」を聞きました。
また、同棲していた場合は、その期間についても伺いました。
その結果がこちらのグラフです。
既婚者の半数以上となる52.9%の人が、「入籍前の同棲経験なし」と答えており、同棲するよりも先に籍を入れていることがわかります。
また同棲期間が「3か月未満」の人は18.8%で、約5人に1人は同棲後すぐに入籍しています。
期間が「3か月〜6か月」の人の割合は8.8%、「6か月以上」の人の割合は19.5%です。
よく耳にする「同棲」ですが、実際の既婚者は「同棲を経ずに結婚している割合の方が高い」という興味深い結果になりました。
また6か月以内という期間は、婚約から入籍するまでの一般的な期間とも一致します。
ひょっとすると、同棲経験が6か月以内の人は入籍前提で同棲している可能性も考えられます。
出会い方が変わっても、「入籍前の同棲が少ない」のは変わらない
入籍前同棲の経験の有無や同棲期間は、出会い方によっても変わるのでしょうか?
こちらもアンケート結果を集計したところ、以下のようになりました。
出会い別で見ると「友人からの紹介」「婚活パーティ・街コン」「結婚相談所」で出会ったカップルの約6割は、同棲を経験せずに入籍しています。
学校や職場、習い事などの「コミュニティ」や、「マッチングアプリ」で出会ったカップルも、約5割は同棲経験がありません。
一方、合コンやナンパで出会った場合は入籍前の同棲経験がある人の割合が「66.7%」となっており、入籍前同棲の経験がない人(33.3%)の約2倍の人が同棲を経験していることがわかります。
合コンやナンパで出会った場合は、同棲を通してお互いの理解を深めていく傾向があるのかもしれません。
以上の結果から、世間的によく耳にする「同棲」でも、実際に入籍前に同棲する人はマジョリティではないと結論づけられます。
入籍前の「同棲」はむしろマイナス? 同棲は幸せな結婚を遠ざける

結婚という大きな決断に当たっては、入籍前の同棲を考える人は少なくないでしょう。
しかし実際のところ、既婚者の過半数は入籍前同棲をしていないことが明らかになりました。
また、入籍前同棲を経験していても、同棲開始から6か月未満で入籍する人が多い結果となっています。
婚約期間の中央値は「3〜6か月」(ナレソメ総研,2024)であることを踏まえると、6か月未満の入籍前同棲経験者も、同棲開始前後で婚約し、入籍日をある程度定めているケースが多いと考えられます。
また具体的な入籍日を決めずに、相性確認のため「お試し同棲」をしたカップルが、同棲後のあるタイミングで入籍を目指して婚約し、その後実際に入籍するというケースは、先行研究と照らし合わせると決して多くないことが想定できます。
具体的には、同棲は「関係満足度を高める効果がない(渡辺,2020)」だけでなく、「関係のストレスや離婚のリスクを高める可能性がある(Stanley et al., 2006)」とされています。
加えて、Stanley et al.(2006)は同棲の特徴として、「本来であれば結婚しなかった2人が、関係性の質にかかわらず、同棲にかけたコストを回収する形で結婚してしまう可能性がある」と報告しています。
以上より、「お試し同棲」をすることで相性を確認するのは、幸せな結婚に向けて有効とは言えないでしょう。
結婚すべきでない人と結婚したり、結婚後の満足度が低下したりするリスクが、入籍日を決めずに同棲を始める「お試し同棲」にあると考えられます。
<引用>
Stanley et al.(2006)Sliding Versus Deciding Inertia and the Premarital Cohabitation Effect Family Relations. Family Relations, 55, 499–509. Blackwell Publishing.
渡辺泰正(2020).配偶者との交際期間と同棲経験が結婚満足度に及ぼす影響.家族社会学研究,32(2): 131–142.
ナレソメ総研(2024):婚約期間の目安は「6か月以内」。プロポーズ後は速やかに入籍まで進もう
<調査概要>
全国の18歳以上の既婚者に対して、結婚・婚活に関する行動を調査しています。入籍に至るまでの恋愛・婚活行動が把握できる調査です。
<出典記入方法>
「入籍前同棲に関する調査2024(ナレソメ総研調べ)」及び、本記事URLを必ず明記してください。
<調査方法>
インターネットによるアンケート調査
<調査期間>
2024年9月4日(水)〜2024年9月20日(金)
<調査対象>
全国の18歳以上の既婚者
<回収サンプル数>
869名。うち、既婚者728名(女性628名、男性100名)を対象に分析