【価値観の正体】結婚相手に求める“価値観の一致”とは?未婚・既婚者の回答が示すリアル

パートナーとの価値観が一致することは、多くの人にとって理想的な関係の条件の1つとされています。

しかし、「価値観が合う」という言葉は、恋愛や結婚を語る際によく耳にしますが、具体的にはどのような状態を指すのでしょうか?

本調査では、未婚者・既婚者の男女を対象に「『価値観が合う』とはなにか」に関する意識調査を行いました。

結果をもとに男女の違いや既婚者・未婚者の違いについても解説していますので、ぜひ最後までお付き合いください。

価値観を象徴する「3つのキーワード」

本調査では、未婚者・既婚者の男女を対象に、「あなたは、恋愛・結婚における『価値観が合う』とは、どのようなことだと思いますか。」という質問で、自由記述方式のアンケートを実施しました。

得られた回答に含まれる単語を出現頻度の高い順に整理したのが以下のグラフです。

出現頻度の高い上位のキーワードは「似て」「考え」「金」でした。

その中で最も出現頻度の高いキーワードは「似て」です。36.0%もの人が「似て」という言葉を含んだ回答をしており、3人に1人は価値観が合うことを「似て」いることだと認識していることがわかります。

具体的には以下のような回答が得られました。

【キーワード「似て」の回答例】

  • ノリや笑いのツボが似ている
  • 言葉遣いや思考の深さが似ている
  • 判断の基準や倫理観が似ている

次に多かったのが「考え」というキーワードです。考えが似ている場合はもちろんですが、考えが異なっている場合でも、「相手の考えを尊重・理解できる」という回答が多くありました。

【キーワード「考え」の回答例】

  • 生き方や考え方が似ている
  • お互いの考えが異なっていても、相手の考えを受け入れて理解しあえる
  • 性格は違っていても考えは合う

3つ目に多かったキーワードは「金」です。「金銭感覚」という言葉が最頻出単語でしたが、「借金の限度」などさらに踏み込んだ回答もありました。

【キーワード「金」の回答例】

  • 金銭感覚が合う
  • 将来設計(子ども、お金、家など)が合う
  • (借金の限度など)金銭的に妥協できないラインが同じ

男女で異なる「価値観」を象徴するワード

得られた回答に含まれる単語の中で、出現頻度の高いものをピックアップし、男女別に表したのが以下のグラフです。

女性の回答で最も出現率が高かったキーワードは「嫌」です。女性の回答の12.5%に含まれている一方で、男性の回答は4.5%、女性の3分の1程度です。

男女別の具体的な回答例は以下のとおりです。

【キーワード「嫌」の回答例】

男性

  • 嫌いなものが似ている
  • 相手の好き嫌いを理解できる

女性

  • 嫌いなものが似ている
  • お互いが嫌な気持ちになることをしない
  • 嫌なことが理解できる範疇に収まっている

男女ともに最も多いのが「嫌いなものが似ている」という回答でしたが、女性のほうがより一層重視する傾向にあるようです。

次に女性の回答で最も頻出したキーワードは「話」でした。女性は11.8%であるのに対し、男性の割合は3.6%となっています。

具体的な回答例を以下に紹介します。

【キーワード「話」の回答例】

男性

  • 気楽に話せる
  • 深い話でも、お互いが同じくらい興味を持ってできる

女性

  • 話し合いができる
  • 話し合いのときに相手への思いやりと尊敬の心がある
  • 会話のテンポが合う・話しやすい
  • 会話内容の抽象度や概念の深さが合う

男性は「気楽に話せる」ことを「価値観が合う」と捉える傾向にあるようですが、女性は話し合いができるときに「価値観が合う」と感じる人が多いことがわかります。

一方、男性の回答で最も出現率が高かったキーワードは「感覚」です。

男性の回答の14.4%に含まれていますが、女性の回答では10.0%にとどまっており、男性のほうがより「感覚」を重視しているといえます。

【キーワード「感覚」の回答例】

男性

  • 金銭感覚が似ている
  • 生活の感覚が似ていること

女性

  • 金銭感覚に大きな差がない
  • お互いへの依存度や束縛の感覚が似ている

「感覚」という言葉は、男女ともに「金銭感覚」を始めとし、言語化しづらい基準を表す意味で用いられているようです。

結婚すると「お金」が価値観の基準に!?

得られた回答に含まれる単語の中で、出現頻度の高いものをピックアップし、既婚者・未婚者ごとに集計したのが以下のグラフです。

既婚者の回答で最も出現率が高かったキーワードは「金」です。既婚者の回答の24.6%に含まれていますが、未婚者の回答では14.7%となっており、約10%もの差があります。

具体的な回答例は以下の通りです。

【キーワード「金」の回答例】

既婚

  • お金の使い方で「何を大切にしているか」が似ている
  • 「お金よりも本当にやりたいことや時間を優先する」など、物事を判断する基準が似ている
  • 「仕事」「家族」「お金」の中で、何を一番大事と思うかが似ている

未婚

  • 金銭感覚とモラルの基準が似ている
  • お金の使い方や相手の生活に違和感がない

キーワードが「金」の場合も、既婚・未婚に関わらず「金銭感覚」という言葉が最頻出ワードでした。

ただ、未婚者の回答では「金銭感覚」や「お金の使い方」という言葉がほとんどだったものの、既婚者の回答になると、「何を大切にしているか」など、さらに一歩踏み込んだ視点での回答が見受けられるようになりました。

一方で、「考え」というキーワードが含まれる割合は未婚者の方が多く、22.7%でした。既婚者の回答に含まれる割合は15.1%で、7.6%の差があります。

【キーワード「考え」の回答例】

既婚

  • 考え方が似ている、もしくは大幅なズレがない
  • 物事を考える時の深さや興味の深さが同じ

未婚

  • 考え方が同じ、もしくは違っても理解できる
  • それぞれが大切にしている考えを否定しないで受け入れあえる
  • 休みの過ごし方についての考え方が似ている

既婚・未婚に関わらず「考え方が似ている」という回答が多い傾向にありました。
また、たとえ考え方に違いがあっても、相手の考えを尊重できることを「価値観が合う」と捉えている人が多いのがわかります。

ナレソメ総研所長・山崎
ナレソメ総研所長・山崎

抽象的でありながら多用される「価値観」という言葉は、話者によって意味の差が生まれていることが明らかになりました。
男女差に着目した場合も、女性は男性より「共通点」や「会話での相性」に着目して価値観の一致を把握しており、男性は女性より言語化しづらい感覚的な基準を「価値観」と表現する傾向がありました。
また、既婚者の回答率が顕著に高い「金」というキーワードは、夫婦として生計を共にする者の「価値観」への意識が現れていると考えられます。
裁判所(2023)によると、婚姻関係事件数の動機別件数について「浪費する」の回答率が夫からの申立てで11.5%、妻からの申立てで8.5%とされています。
これは「異性関係」(夫から12.0%、妻から12.9%)に迫り、かつ「性的不調和」(夫から10.5%、妻から6.3%)に勝る割合です。
結婚相手選びの文脈において「価値観が合う」ことを確認する場合、金銭感覚の類似度や許容範囲を確認することが、結婚後の関係破綻の要因を減らす方法の1つと言えるでしょう。


引用:裁判所(2023)司法統計年報(家事編)https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/719/012719.pdf
※考察内の割合は本資料第19表より算出

<出典記入方法>
「恋愛経験に関する調査(ナレソメ総研調べ)」及び、本記事URLを必ず明記してください。

<調査方法>
インターネットによるアンケート調査
<調査期間>
2024年9月27日(金)〜2024年11月3日(日)
<調査対象>
全国の18歳以上の男女
<回収サンプル数>
708名(女性589名、男性119名)