出会い方で離婚率は変わるのか?結婚相談所、マッチングアプリ、コミュニティ結婚の離婚率を分析

結婚相手との出会い方が多様化している現代。離婚に対する考えも変化があり、近年は離婚率が高まっていると言われています。離婚はかつて、社会的にマイノリティな選択肢でした。しかし現在では、結婚生活の継続が必ずしも幸せをもたらすものではないという考え方が浸透し、離婚を選択する人は増加しています。
離婚数の増加は「出会い方」と紐付けて分析されることがあります。一例として、見合い結婚が主流だった時代は離婚数が少なく、恋愛結婚が主流となった現代で離婚数が増加しているため、見合い結婚は離婚率が低いという考察がみられます。しかしながら、離婚者に出会い方をヒアリングしているわけではないため、あくまで推測の域を出ないと言えるでしょう。
以上より、出会い方と離婚率との関連を把握するため、配偶者との出会い方及び婚姻関係の継続有無を調査しました。出会い方ごとの離婚率の特徴を分析します。
「3組に1組が離婚する」の信頼性は?「特殊離婚率」について
「3組に1組が離婚する」とよく言われていますが、これは「特殊離婚率」と言われる定義から生まれた誤解と考えられます。
特殊離婚率[%]=(離婚件数÷同年の婚姻件数)*100
令和2年の婚姻件数(52.6万件)、離婚件数(19.3万)から特殊離婚率を算出すると、約36.7%です。なお、令和5年(婚姻件数47,4717組、離婚件数183,808組)で約38.7%となります。たしかに「3組に1組」程度の数値が読み取れます。
一方で、特殊離婚率はあくまで「同年の婚姻件数と離婚件数の比」を示すに過ぎません。当然、偶然に婚姻件数が多い年は特殊離婚率が低下し、婚姻件数が少ない年は上昇します。つまり、現代日本において3組に1組が離婚するという解釈はできず、「この年は、婚姻届の1/3程度の数の離婚届が提出された」という解釈に留まります。
離婚出現率はコミュニティ>マッチングアプリ>結婚相談所
本調査では、婚姻歴がある30代及び40代を対象に、初婚相手との関係継続有無をヒアリングしました。また、上述の特殊離婚率の件を考慮し、本調査では離婚出現率を次の定義で算出しています。離婚出現率では「婚姻経験者のうち何%が離婚しているか」を正確に捉えることができます。
離婚出現率[%]=(離婚経験数÷婚姻経験数)*100
30代、及び40代の離婚出現率は次の図の通りです。


<結果まとめ>
・30代、40代ともに離婚出現率が最も低い出会い方は結婚相談所、次いでマッチングアプリ、コミュニティ
・30代で、結婚相談所はマッチングアプリより約23%、コミュニティより約47%、 離婚リスクが小さい。(離婚出現率の比較)
・40代で、結婚相談所はマッチングアプリより約17%、コミュニティより約19%、 離婚リスクが小さい。(離婚出現率の比較)
30代、40代ともに離婚出現率に同様の傾向がみられました。離婚出現率が最も高い出会い方はコミュニティ、次いでマッチングアプリ、そして結婚相談所の順となりました。以上より、出会い方が離婚リスクに関連していると判断できるでしょう。
出会い方ごとに離婚出現率の差が生まれたのは、それぞれの出会い方の特徴が影響していると考えられます。結婚相談所はコミュニティ、マッチングアプリとは違い、「結婚を目的とした出会いの場所」と言うことができます。つまりは、出会った時点での結婚への意識の違いが離婚出現率の差につながっていると考えら得られます。
また、40代は30代より離婚出現率が高くなっています。初婚年齢の中央値が男女ともに20代後半であることを考えれば、婚姻期間が長い40代の離婚出現率が高くなるのは必然でしょう。なお、年代間で離婚出現率が大きく伸びているのはマッチングアプリです。
以上より、出会い方で離婚出現率が異なることが明らかになりました。3種類の出会い方のうち、結婚相談所が最も離婚リスクの低い出会い方と捉えることができます。
所長考察
本調査では、出会い方による離婚出現率の差が明らかになりました。30代、40代ともに、結婚相談所での出会いでの結婚(以下、見合い婚)は、マッチングアプリでの出会いによる結婚(以下、アプリ婚)、及び学校や職場などコミュニティでの出会いによる結婚(以下、コミュニティ婚)より離婚出現率が低い結果となりました。
見合い婚の第1の特徴として、他の出会い方よりも入籍までの交際期間が短い点が挙げられます。国立社会保障・人口問題研究所(2023)は、見合い婚の平均交際期間は1.5年、恋愛結婚(コミュニティ婚)の平均交際期間は4.9年と報告しています。また、出会いから入籍までの期間に関する調査(ナレソメ総研,2025)においても、見合い婚、アプリ婚、コミュニティ婚の順で短期間であると明らかになりました。
見合い婚の第2の特徴として、出会いの段階から結婚相手として関係構築を行う点が挙げられます。コミュニティ婚では、当初は知人関係や友人関係であった者同士が関係を進展させながら婚姻関係に進みます。なお、マッチングアプリは「気軽な出会い(ワンナイト等)」を利用目的とする男性は女性の2.5倍以上いる(ナレソメ総研,2025)など、出会いの目的にミスマッチが起きやすいと考えられます。以上より、見合い婚はアプリ婚やコミュニティ婚に比べ、結婚意欲が高い者同士が出会いやすい方法であり、ゆえに結婚後に離婚に至るリスクを軽減できる関係構築が当初からなされていると考えられます。
以上より、交際期間の長さが離婚リスクを低下させるわけではないと言えるでしょう。交際期間や同棲経験が結婚満足度に及ぼす影響を調査した渡辺(2020)は、一部ケースを除き、交際期間の長さや同棲経験が満足度に影響は与えないとしています。結婚満足度の高さが離婚リスクを低減できるとした場合、交際期間を長くとることより、配偶者マッチングの質や双方の関係構築意欲が担保される出会い方を選ぶことが、離婚しない夫婦関係を築く上で重要と言えるでしょう。 (ナレソメ総研所長 山崎)
引用:
国立社会保障・人口問題研究所(2023)第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)
ナレソメ総研(2025) マッチングアプリの利用目的に関する調査 ※記事準備中
渡辺泰正(2020) 配偶者との交際期間と同棲経験が結婚満足度に及ぼす影響 家族社会学研究32巻2号
調査概要
<調査タイトル>
離婚率に関する出現率調査
<調査方法>
インターネットによるアンケート調査
調査実施機関:株式会社マーケティングアンドアソシェイツ
<調査期間>
2025年2月6日(月)〜2025年2月14日(火)
<調査対象>
婚姻歴のある30-49歳の男女
<回収サンプル数>
19,639名(30代7,979名:コミュニティ6,693名、マッチングアプリ1,078名、結婚相談所208名 40代11,660名:コミュニティ10,628名、マッチングアプリ702名、結婚相談所330名)
調査結果の引用について
本調査結果は、引用ルールを遵守いただくことでどなたでも引用いただけます。
調査結果を引用する際は以下の記載例のように、本記事URLを記載してください。
記載例)
出典:ナレソメ総研(https://naresome.net/divorce-rate-by-how-couples-meet/)