【庄司智春】「僕にとって結婚とは、“生きた証”」ミキティとの馴れ初めとリアルな15年【結婚の哲学】

編集長のyuzukaが本当に気になる人だけに、「結婚について」を取材する連載企画、「結婚の哲学」。
今回は芸人、「品川庄司」の庄司智春さん(49)をお招きした。

もともとは“クズみたいな恋愛をしていた”という庄司さん。
全ての連絡先を消して、「次に出会った人とは真剣に向き合おう」と決めたタイミングで出会ったのが奥様(藤本美貴さん)だったそうだ。
彼女と出会ってガラッと変わった価値観と生活。それらに今感じることとは?
庄司さんの“結婚の哲学”をひも解く。

妻との出会いは109前の「ナンパ」。印象は「めちゃめちゃかわいい」

yuzuka:庄司さんと言えば、「ミキティー!!」と奥様の名前を叫ぶ芸風ですっかりおなじみですよね。
今日は、そんな奥様との“ナレソメ”について、深掘りしていきたいと思います。

まずは、奥様とお付き合いをされたきっかけから伺ってもよろしいですか?

庄司さんナンパですね(笑)。

yuzuka:ナンパなんですね!?

庄司さん:はい(笑)。ある休日、ロンブー(※元ロンドンブーツ1号2号)の淳さんと一緒に渋谷へ出かけていたんです。

淳さんが車を運転して、僕は助手席に座っていて。信号待ちをしていたとき、彼女が偶然、スクランブル交差点を歩いて僕たちの目の前を通ったんですよ。
それで淳さんが「え、あれミキティじゃない? おまえ、ちょっと降りて追っかけろよ」って、ふざけた感じで言ってきて。
当時はそういうノリもよくあったので、「はい、わかりました!」って即行動しました。

ミキティはお姉さんと一緒に歩いていて、SHIBUYA109の中に入っていったんですけど、そこになんとか追いついて声をかけて。
僕が話している最中に淳さんも追いついたんですけど、そこで人だかりがわーっとなっちゃったんで、「じゃあ、今度ご飯でもどうですか?」って。
当時はガラケーで赤外線送信だったんですけど、バタバタと交換して……。それがきっかけでした。

yuzuka:ミキティさんとは、それが初対面だったんですか?

庄司さん:そうですね。テレビ局ですれ違ったことはあったんですが、挨拶を1回したかどうかくらいの記憶なので、ほぼ初対面ですね。

yuzuka:意外な出会いだったんですね……! そこからやりとりが始まった。

庄司さん:はい。「さっきはすみません、人だかりで驚かせちゃって」って謝罪と、「よかったら今度ご飯でも」ってお誘いの文を送って。で、淳さんと「返信来るかなあ」なんて話してたら、なんと2時間後くらいにちゃんと返事がきたんです。

そのとき、僕はかなりうれしくて。僕が喜んでいるのを淳さんも察して、「そんな感じなら俺が一緒に行ってもしょうがないよな……」みたいな感じで遠慮してくれて、2人で会うことになりました(笑)。

yuzuka:そのときから、庄司さんの中には恋愛感情があったんですか?

庄司さん:めちゃくちゃありましたね。仕事場でご挨拶したときはなにも思わなかったんですけど、渋谷で会ったときは、「めちゃめちゃかわいいな」と思ってて。そこのテンションが、たぶん淳さんにも伝わったんだと思います。

過去の恋愛は「クズ」だった。「やばい」と感じてから、妻に出会うまで

yuzuka:そこから奥様とのお付き合いが始まるわけですが、庄司さんとしては初めから、結婚願望みたいなものはあったんですか?

庄司さん:そうだな……。それで言うと、彼女にというよりは、中学生くらいの頃から、うっすらと「家庭を持ちたいな」みたいな願望はあったんですよね。
とはいえ、芸人になってからは、この世界で成功したい! ということに集中していたので、そういう思いは少し薄れていた気がしますが……。

yuzuka:では、過去の恋愛でもうっすらと「結婚」は思い描いていた?

庄司さん:具体的に誰かと結婚の話をしたことはないですけど、「別れる前提で付き合う」というのはなかったので、「このまま別れなければ、自然と結婚するかもな……」くらいの、恋愛の延長線上にいつか結婚がある感覚ではありました。

yuzuka:なるほど。芸人さんに同じようなお話を聞くと、だいたいが「若いときは結婚なんかよりも自由が欲しかった」とおっしゃるんですけど、庄司さんとしては「家庭が欲しい」という気持ちが頭の隅にあったんですね。

庄司さん:いや……なんだかんだ言って、若いときはやっぱり自由が良かったと思いますよ(笑)。というか、本当にクソみたいなことを言ってましたよ、僕も……。クズですからね、基本、芸人なんて。

yuzuka:本当ですか? 庄司さんに恋愛的な「クズ」のイメージはないのですが、ナンパとか、クラブとか、そういう「女の子と遊ぶ」みたいな機会がたくさんあった、みたいな感じですか?

庄司さん:そうですね。だからこそ自分も傷ついたし、相手を傷つけた部分もあるなって、ときどきその頃を思い返します。

yuzuka:逆に、どうしてそういう生活から抜け出せたんでしょう? 庄司さんなら、今でもやろうと思えばできるわけですよね。

庄司さん:…… 怖くなったんですよね。

yuzuka:怖くなった。

庄司さん:はい。というのも、ちょうどミキティと出会う直前、「こんな、ただナンパを繰り返すみたいな、その日暮らしの生活をしていたら、10年後20年後、きついぞ」って本気で思ったタイミングがあったんです。

これは僕自身の責任なんですけど、当時出会うのは、同じような女性ばかり。
「同じような」というのは、なんと言うか……「あの頃の僕と似ている」というか。

自分の行動範囲が「そういう場所」ばかりだったので、「そういうタイプ」の女性としか出会わないんですよ。だから、ちょっといい感じの彼女ができても、すぐ別れる……みたいなことをずっと繰り返していた。

今思えば、自分がその日その日のメンタルで生きてるから、その日その日の女の子としか出会えなかったんだと思います。

yuzuka:ちなみに、そういう「その日暮らし」の相手になってしまう女性とは、どうしてうまくいかなかったんだと思いますか?

庄司さん:もともとお互い、ワンナイトみたいな感じで出会ってるんですよね。そこからどちらかに情が出ちゃって、傷つけ合うことが多かった。
例えば、僕のほうがちょっと本気になると、「え、私そんな感じじゃないんですけど」って離れていって、傷ついたり。逆に僕が相手を傷つけたこともあったし……。 そういうことを繰り返すうちに、「ああ、やっぱダメだな」って。

yuzuka:すれ違いだ……。

庄司さん:そうですね。それで考えたんです。このままこんな生活を続けて、その先どうなるんだろうって……。
40代50代になっても後輩と夜な夜な街へ繰り出して、今だったらマッチングアプリとかするのかな? クラブにも行ったりして、そのたびに「あの子かわいいな。ちょっと電話番号聞いてこようぜ」って言って、ご飯に誘って……。
そんなことを40代50代になっても繰り返してるって想像したら、なんかゾッとしちゃって。「やばいぞ」って。

実はこれ、ピースの綾部とも話したんですよ。お茶しながら、「確かに俺たち芸人だし、遊びに行ったみたいな話もエピソードとして欲しいよね。でも、そればっかりってのもな」って。

で、僕が「これ、10年後もこうやってお茶して、『あの子かわいいね』とか言ってたら、ちょっとしんどくないか?」って言ったら、綾部も「そうっすね……」って(笑)。
そのときも、「仕事も頑張るけど、しっかりと家庭を持てるようにしないとな」みたいな話をしていて。それも、心の中で何かが動いたきっかけの1つだったかもしれませんね。

yuzuka:なるほど。そこで、前を向く決意をした、と。

庄司さん:はい。それで、全部切ったんです。

yuzuka:切った!?

庄司さん:はい。切ったって言うと偉そうですけど、「もうこれじゃダメだ」って思って。なんとなく連絡を取り続けてる女性とか、遊んでた女性とか、そういう人たちと連絡を断って、電話帳も1回きれいに、まっさらにしました。

表現が合ってるかわからないですけど、「1回童貞に戻る」みたいな。自分の中でリセットする期間を設けたんですよ。

で、そのときに決めたんです。「次に出会う人とは、一途に、真剣に向き合おう」って。
その後に、偶然出会ったのが、ミキティだったんです。

「“結婚”か“別れる”かを選んでくれ」庄司さんをそこまで動かしたのは、彼女への「愛」だった

yuzuka:生活を変える決意をしてから出会った奥様。庄司さんの行動としては、今までの恋愛と比べてどのような違いがありましたか?

庄司さん:なんか、細かい話なんですけど……。過去の恋愛では、彼女ができても「自分の気持ちの重さ」を見せないようにしてたんですよね。
「重いと思われたら嫌われるんじゃないか」って考えちゃって。だから心に余裕を持たせるために、意識的に友達と遊びに行ったりして、あえて彼女1点に集中しないように、気持ちを分散させる生活をしてたんです。

でも、ミキティのときは違いました。「もういいや」って思えた。自分の気持ちにまっすぐ向き合って、たとえ重いと思われても、素直にぶつけてみようって。
……たぶん、彼女も最初、ちょっとびっくりしたと思います(笑)。

yuzuka:そういえば結婚自体も、庄司さんが「“結婚”か“別れる”かを選んでくれ」って迫ったんですよね? 具体的にはどのようなお話になったのですか?

庄司さん:付き合うようになって、僕たちの関係が世間にバレて。で、彼女は当時のグループを脱退して。そこからは歌謡曲を歌ったり、営業に回ったりしてたんですよね。

その頃から、事務所のお偉いさんとお会いしたときとかには「僕たち結婚するつもりです」みたいなことは伝えていたんですけど、いよいよ「そろそろかな」という時期に、彼女の中で「もう少し仕事を頑張りたい」という気持ちが出てきたみたいで。

たぶん彼女の中では、「新しい仕事を定着させたい」という気持ちと、「だけど庄司くんと付き合っている以上、結婚もしなきゃいけないのかな……」みたいな気持ちが入り混じって、葛藤してたんだと思うんですよね。

でも僕は、もう今すぐにでも彼女と結婚したかった。
この先ダラダラ引き延ばされたら、例えば5年6年と付き合う間に、彼女もいろんな人と出会うじゃないですか。
その中で「庄司くん、ちょっと違うかも」って思われたら、絶対嫌だったんです。

yuzuka:それだけ大好きだったんですね。

庄司さん:そうなんですよ。たくさんの人と出会えば出会うほど、比較されて、気持ちが離れてしまうんじゃないかって不安もありました。
それに、ズルズルいくと、僕自身も、それから彼女も、どこかで「まあ、結婚しなくてもいっか」って、気持ちがズレちゃう気がしたんです。

でも、嫌だった。僕は、どうしても彼女と結婚したかったから。
だからこそ、「結婚しようよ。このままずっと付き合ってるだけだったら、たぶん結婚しないと思うよ」って、ストレートに言ったんですよ。結構、前のめりで迫りました。

yuzuka:でも、奥様はすぐに首を縦には振らなかった。

庄司さん:そうですね。「その気持ちはわかるけど、私は今、新しいことに挑戦してる時期なんだから、そこも理解してほしい」って。
彼女もすごく悩んでましたし、そのときはかなりぶつかりました。最終的には納得してくれましたけど。

「え? 俺、こんな変わったの?」彼女との関係は、過去とは「全く違う」

yuzuka:かなり情熱的に見える庄司さんですが、過去の恋愛では「なんとなく結婚願望はあったけど、具体的な話は出なかった」とおっしゃっていましたよね。
それが奥様には、それだけ前のめりに気持ちを表現したというのは、やはり気持ちの大きさが違ったのでしょうか?

庄司さん:そうですね。最初に出会ったときに、まず「かわいい!」って思ったんですよ。その瞬間に、「付き合いたい!」っていう衝動的な気持ちも芽生えて。
いつもならそのままだけど、 彼女相手にはただの感情で終わらせずに、ちゃんと言葉にして、行動に移そうって思えたんですよね。

だから付き合うときも、出会ってすぐ、初めてのデートで「かわいいと思ってるんで、付き合ってください!」って、ストレートに伝えました。
……結果、ずっと断られたんですけどね(笑)。

だけどようやく付き合うことができて、週刊誌に撮られて、彼女がグループを脱退することになって。

今思えばあのときからすでに、自分の中では「覚悟」が決まっていたのかもしれません。
ここまで世の中を騒がせて、彼女の人生を大きく変えてしまった。だから、ちゃんと責任を取らなきゃって。
その結果、他の人と比べて、結婚について強く、具体的に行動するようになったのかもしれませんね。

yuzuka:庄司さんから見て、「この人となら結婚しても大丈夫」と思えたエピソードはありますか?

庄司さん:そうだなあ……例えば初めて2人でドライブしたときのことなんですけど、彼女の言葉遣いが印象的だったんですね。
「◯◯してもらえて」とか、「◯◯してくれて」とか、自然に感謝の言葉がにじみ出る人で。「優しい人だな」って、素直にそう思いました。

それからそのとき、彼女の家族の話も聞いたりして。「地元におじいちゃんとおばあちゃんがいて、いろいろ大変なんですけど……でも、2人が好きだから私が頑張る」って。
それを聞いたときに、「ああ、この人は家族を大事にする人なんだな」と思って、その温かさも好きになったきっかけでした。
たぶん、そういうのもあって、最初から結婚のイメージも自然と湧いてきたんだと思います。

yuzuka:すてきだ……。

庄司さん:後は、自分自身の変化にも驚いてましたね。

yuzuka:庄司さん自身の変化。

庄司さん:はい。例えば過去の恋愛だと、彼女から「誰と飲みに行くの?」とか「女の子もいるの?」なんて聞かれると、「なんでそんなこと言わなきゃいけないんだよ。うるさいな、信じてくれよ」って、ちょっとイラッとしてたんです。

でも、ミキティに言われると……なんかうれしかったんですよ(笑)。
「え? 俺が誰と飲むか気になるんですか?」って。 むしろ「気になるってことは、意外と俺のこと好きなのかも?」ってうれしく思えたりして。
だったら全然、言うよって。どこで誰と何してるか、全部言えるって思ったんですよね。

なんか、それがすごく自分でも意外で。 「え? 俺、こんな変わったの?」っていう、おもしろさもありました。

yuzuka:過去とは全然違いますね。

庄司さん:そうなんです。ミキティだと、全部いいほうに解釈できちゃう。
通常なら「重い」と思われそうな気持ちでも、全然重くならないし、逆に僕が「これはちょっと重いかな」って思いながら言ったことでも、ミキティは「全然大丈夫だよ」って、さらっと受け止めてくれる。

お互いに、「重い気持ち」を重いと思わずに受け取れる。それがすごくうれしかったし、「ああ、この人とは波長が合ってるな」って感じたんですよね。

今でも恋愛感情は「ある」。継続の秘訣とは

yuzuka:庄司さんの「奥様大好き!」が伝わるインタビューで、とてもほほえましいです。ここからはご結婚後のお話を伺っていきたいと思います。

まずは「付き合う」という段階から「結婚」へと進まれて、なにかお2人の関係に変化はありましたか?

庄司さん:うーん、なんだろう。そこまで大きくは変わってないんですけど……そういえば、車で区役所に婚姻届を出しに行った帰り道、最初の信号待ちがたまたま「住宅展示場」の前だったんです。そしたらそこで突然、「家ってどうしようと思ってる?」って聞かれて(笑)、「えっ、もうそういう話するんだ?」って2人で笑った記憶があります。

そういう意味で、「家族になる」っていう感覚は最初の頃から自然と芽生えてましたね。でも、関係性そのものは、あまり変わらなかった気がしますね。

yuzuka:では、そこから3年ほどたって、お子様が生まれてからはいかがですか?

庄司さん:そうですね、やっぱり家の中が「ママと子ども中心」に動くようにはなりましたね。子どもが求めるのってまずママなので、ママと子どもが主役で、その中で自分がどう動くかを考える、みたいな。

でも、それくらいかな。意外と僕らは、「子どもが生まれたからママとパパになる」っていう意識がすごく強いわけじゃなくて、2人の関係は2人の関係としてちゃんと残しておく。必要なときは「ママとパパ」っていう立ち位置で動く、みたいな感じなんです。

yuzuka:庄司さんは、それがすごい。というのも、よくあるお悩みとして「子どもが生まれてから女として見られなくなった」とか、それが怖くて子どもを持ちたくないという声もあったりするんです。

庄司さん:ああ、なるほどなぁ。

yuzuka:そういった方たちにとって庄司さんは希望だと思うのですが、「夫婦関係」を維持するうえで心がけていることってありますか?

庄司さん:心がけてること……一緒にお風呂に入らない、ってことですかね。

yuzuka:おお! それってやっぱり効果あるんですか?

庄司さん:いや、それ自体に効果があるのかは、正直わからないんですけど(笑)。
僕、テレビではよく裸になってますけど、家の中ではあんまり裸を見せないんですよ。むしろ、僕が脱衣所で裸になってるときに急にミキティが入ってきたら、「ちょっと、出て行ってよ!」って言っちゃうくらいで(笑)。
もちろん、彼女も「いきなり入ってこないでよ」って言うし。お互い、そういう距離感は大事にしてると思います。
パンツ一丁で部屋をウロウロするみたいな、だらしない格好もしないですね。

後は、同じ家に住んでると、どこかに出かけるときも一緒に家を出て、一緒に帰ってくるわけじゃないですか。
それももちろん良いんですけど、たまにはあえて職場とか外から別々に待ち合わせして、ご飯を食べに行く、みたいなこともやってます。

結婚記念日には、彼女のお母さんに子どもをお願いして、2人で食事に行くこともありますし。
YouTubeでもたまに、2人でランチに行こうみたいな企画をやったり。そういうふうに、2人の時間をちゃんと取るようにはしてます。

yuzuka:その辺りって、庄司さんはナチュラルにやられているんですか? それとも、いろいろ調べて実践されているとか?

庄司さん:いや、調べたりはしてないですね。「こっちのほうが楽しいよね」って、2人で話して決めてる感じかな。

yuzuka:すてきだ。そういう工夫を続けているお2人は、当たり前かもしれませんが、恋愛感情的な「好き」という気持ちも、今も変わっていないんですね。

庄司さん:恋愛感情、全然ありますね。もう結婚して15年目ですけど、いまだにお互い嫉妬もしますし。

例えば僕は、彼女がテレビとかで他の人を見て笑ってると、ちょっと嫉妬します(笑)。
僕自身も、女性芸能人の方を「かわいいね」って言ったり、街を歩いている女性に「あの子スタイルいいね」とか、そういうのは言わないようにしてます。
彼女に嫌な思いをさせたくないので。

彼女も「あの人カッコいいね」とかは言わないですけど、「きれいな顔してるね」とかって、ちょっとごまかして言うときはあります(笑)。たぶん、それも配慮してくれてるんだと思いますね。

家事は「放っておかない」。円満の秘訣は、「気持ちが収まらなくても謝る」こと

yuzuka:仲むつまじいお2人ですが、お2人ともバリバリの共働きで、お子様も3人いらっしゃって……きっと毎日バタバタだと思うんです。家事や育児の分担は、どうされているんですか?

庄司さん:家事については実は、「洗濯は僕」みたいに明確に決まってるわけじゃないんですよ。けっこう流動的ですね。
もちろん、ミキティが中心でやってくれてるんですけど、2人とも仕事のときは、彼女のお母さんが来てくれてサポートしてくれることもあります。それは本当に助かってます。

yuzuka:庄司さんが料理されることもあるんですよね。

庄司さん:はい。僕が料理を作ることもありますし、基本的には「空いてるほうがやる」って感じです。

yuzuka:それでうまく回るのが、お2人の関係性の良さだなぁと思います。「空いてるほうがやる」って、実際はどちらかに偏りがちですから。そういえば以前、庄司さんが「家事はほったらかしにしないことが大事」とおっしゃっていて、あれも印象的でした。

庄司さん:そうなんですよ。例えば洗い物がたくさん残ってて、彼女が先に寝ちゃってて、僕だけ起きてるとき。なんか洗い物から「おい、俺ここにいるけど?」って挨拶されてる感じがして(笑)。
で、人間関係でもそうですけど、挨拶されてるのに無視したら嫌われるじゃないですか。だから、家事も同じで、目が合ったら無視しない。ちゃんとやろうって思うんですよね。

yuzuka:夫の鑑です。それに対して、奥様はどんな反応をされるんですか?

庄司さん:それが、ミキティも僕がやったことに対して、「やってくれたんだね」とか「ありがとう」とか、いちいち言ってくれるんですよ。
でも、そもそも家事って当たり前じゃないですか。みんなで生活してて、掃除や洗濯が残ってたら、どっちかがやる。それだけのことなんですけど、彼女はそれにちゃんと感謝してくれる。
だから僕も、「これやったら喜んでくれるかな」って思いながらできるんですよね。完全に“褒めて伸ばされて”ます(笑)。

yuzuka:すごく良い関係ですね。それに確か、奥様のお願いの仕方も上手なんですよね?

庄司さん:あ、それもありますね(笑)。彼女、出かけるときに「1つだけお願いする」って感じで頼んでくるんです。「ごめん、洗濯回してるから、終わったら干しといてくれる?」とか。
そうすると、1つやったことで「あ、これもやっといたら助かるかな?」って気持ちになって、もう1つやろうかなって思えるんですよね。なんでも“1歩目”が大事なんですよ。

yuzuka:いい意味で、うまくコントロールされている(笑)。でも、お2人でもけんかはありますよね?

庄司さん:もちろん、あります。例えばこの前も、僕がスーパーで買い物してるときに、「家にタマネギあったかな?」ってLINEしたんです。でも返事がなくて、結局買わずに帰ったら、「タマネギくらい自分で判断して買ってこいよ!」って(笑)。
でも僕は僕で、「家族のために買い物してんのに……」って思ってたんですよ。そういうちょっとしたことで、すれ違っちゃうことはありますね。

yuzuka:そういうとき、気持ちはどうやって切り替えるんですか?

庄司さん:もう、気持ちが収まらなくても“謝る”。これに尽きますね。
ミキティもたぶん同じです。 子どももいて、「パパとママがけんかしてる」って空気感をすごく感じるわけじゃないですか。実際に、子どもから「早く仲直りしなよ」って言われることもありますし(笑)。
で、そうやって結局仲直りするわけですよね。だったらその不機嫌な時間、意味ないなって。だから、早めに「意味ないぞ」って思い出すようにしてます。

yuzuka:“気持ちが収まらなくても謝る”って、名言ですね。

庄司さん:最初の頃は「電気つけっぱなし」とか「ドア開けっぱなし」とか、細かいことを言い合ってたんです。
でも言われた側も、「いやいや、この前おまえもやってたじゃん」ってなるじゃないですか。それで、ちっちゃいことを根に持つようになっちゃった時期があって。 だから今は、そういうのは「もう言わない」って決めました。
みんなで生活してるんだから、忘れることもある。スルーできることはスルーするのも大切かもしれません。

結婚15年たっても驚くのは、妻の「明るさと頼もしさ」

yuzuka:結婚して15年。奥様の印象って、変わりましたか?

庄司さん:そうですね……「こんなに明るくて頼もしい人だったんだな」って、日々思います。
結婚した当初は、「よし、俺が旦那として引っ張るぞ」って思ってたんですけど、実際は全然逆で(笑)。彼女のほうがメンタルがめちゃめちゃ強いんですよ。
気が強いっていうのもあると思うけど、それ以上に“明るい”っていうのが、僕にとってはすごく助かってます。

yuzuka:庄司さんは、結構、落ち込みやすいタイプだったりします?

庄司さん:そうなんです。僕は引きずっちゃうタイプ。
でもミキティは本当にあっけらかんとしていて。例えば誹謗中傷とか、ネットでのコメントとか、全く気にしないんですよ。
僕がくよくよしてる横で、彼女は気にも留めていない。その姿を見てると、僕も「まあ、いっか」って気持ちになれるんですよね。

yuzuka:仕事にもすごく良い影響を与えてくれそうですね。

庄司さん:ああ、それは確かにありますね。例えばこの前も仕事でスベっちゃったとき、「うわー、やっちゃった……」って落ち込んでたんですよ。そしたら彼女が「どうしたの?」って聞いてくれて、事情を話したら「え、もういいじゃん。どうせまたスベるんだから」って(笑)。

yuzuka:強い……!

庄司さん:最初は「なんでそんなこと言うんだよ〜(笑)」って思ったんですけど、彼女が言うには、「この仕事、ずっと続けていくんでしょ? だったらたまにはスベることもあるよ。でも、そのたびに落ち込んでても意味ないし、次に向けて明るくやったほうがいいじゃん」って。

yuzuka:すごく、健やかな視点ですね。

庄司さん:そう。結局「この仕事が好きでやってるんだから、笑ってやろうよ」っていう、あの明るさに救われるんです。
ミキティのひと言で、落ち込んでた自分がバカらしくなって(笑)。そういう意味では、仕事でも彼女にかなり支えられてると思います。

yuzuka:美しくて、強くて、聡明で、明るくて……。ミキティさんのことが、どんどん好きになります。

庄司智春さんの結婚の哲学。結婚は「生きた証」

yuzuka:さて、ここまで奥様のことを中心にお話してきましたが、最後に「結婚」そのもののお話をお伺いしたいです。
若い頃は「自由が良かった」という庄司さん。実際にご家族を持たれて、きっと自分の時間や自由は減ったと思いますが、心境はどう変化しましたか?

庄司さん:「子どもができて自由が利かない」「結婚して自分の時間がない」とかって、僕もよく聞きますけど、僕は、むしろこの時間が人生において、いちばん充実しています。

子どもを持つ前は、子どもと過ごす時間ばかりだと自分の時間がなくて、充実感がなくて、「俺ってなんだろう」みたいに思うかなって思ってたんですよね。
でも、生まれてから感じるようになったのは、子どもと過ごしているこの時間が、自分の人生においていちばん自由な時間なんじゃないか? って。

僕の息子、中学1年生なんですけど。昨日、お風呂から上がったら、「ちょっと髪の毛乾かしてくれないかな?」って言われて、久しぶりに乾かしてあげてたんですよね。
そしたら、髪の毛を乾かす位置に「こんなにでかくなっちゃったの?」って思って。それが、なんだかすごく悲しく、寂しくなっちゃったんですよ。

この先、どんどん親離れもしていくでしょうし、人生は限られているから、奥さんとの2人の時間とか、子どもとの時間もなくなっちゃう。
そう考えると、もっともっと大切にしようって、昨日、改めて思ったんですよね。

確かにね、例えば休みの日、「あれやって」「これやって」「これ見て」とか、そうこうしてたら子どもが学校から帰ってきて、習い事の送り迎えとかやって……。結局、自分のことは何もできずに夜になって、「休日終わっちゃったか」って思ったりもするんですよ、たまには。

でも、子育ては終わる。終わったら、また好きなだけ自由な時間がある。
そう考えると、今はこの時間を大切にしようって思えるんです。

yuzuka:すてきな言葉にウルウルきてしまいました。では、最後に庄司さんにとって「結婚とはなにか」を説いていただきたいのですが、いかがでしょうか?

庄司さん:結婚、結婚。結婚、か。
あの、僕、めちゃめちゃ結婚して良かったなと思ってるんですよ。結婚というか、彼女と結婚できて良かったなって思ってて。
で、3人も自分の子どもが授かれて、まあ、いろいろ大変なこともありますけど、今、めちゃめちゃ楽しいんですよ。

だから、どうやってまとめましょう。いや、まあでも、僕にとって結婚とは、「生きた証」みたいな感じです。「生まれてきた証」、かな。

yuzuka:独身の人生に戻るって、考えられないですか?

庄司さん:考えられないです。結婚のメリットとはなにか、とか言う人がいますけど、この世に生まれてきて、親以外に1人、自分のことを確実に認めてくれる人が隣にいるって、人生においての絶対的な安心感だと思うんです。
「この人だけは味方でいてくれてるんだ」って思うと、生まれてきた意味があるなって思える。

俺、今独身だったら、もうたぶん、今やっちゃいけないこと全部やっちゃってんじゃないですかね、止める人がいないから(笑)。
コンプライアンスって言われるこの時代、ダメなこと全てやっちゃってたんじゃないかなって思います。その点でも本当に、ミキティがいてくれて良かった。

yuzuka:では庄司さんは、結婚はしたほうがいいと思いますか?

庄司さん:僕はそうですね。個人的にして良かったなと思うので、他の誰かにも「いいお相手がいたら、結婚はそんな悪いもんじゃないよ」とは伝えたいですね。

なんか、子どもを育てるようになってよく言われるのが、「かわいいでしょ、娘さん。許せる結婚相手の条件がいっぱいあるんじゃないの?」って、そういうのなんですけど。

正直、僕は自分の子どもが誰かに愛してもらえて、そのうえ、「結婚しよう」って言ってくれる人に出会えたんだとしたら、もう、それだけで胸がいっぱいで泣けるんです。

それくらい、僕の人生の中ではミキティに出会えて、結婚できたことが大きい。

周りにも、よく言われます。「おまえ、ミキティと出会って良かったな」って、すごく言われます。
それは僕も感じてますし、なんだったら、ミキティも言ってくるんです。「私と出会えて良かったでしょ?」って。それがまた、幸せなんですよね。


インタビュー中、奥様へのあふれる愛に、思わず胸がぎゅっと締め付けられるほど、庄司さんの言葉や思いは、とてもまっすぐで、それになにか、救われるような思いがしました。

現代のSNSを見ていると、「結婚」に対する混沌とした不満があふれ、それを日々浴びている若者たちは、この制度に対して、どこか冷たくて無機質な印象を持ってしまっているのではないか……そんなふうに感じることがあります。

でも、庄司さんの言葉。「結婚は“生まれてきた証”」また、これまでの「結婚の哲学」シリーズで、誰もが語ってきた、温かくて丸みを帯びた言葉たちを聞いていると、やっぱり私は「結婚」って悪くないな、と思えるのです。

今後もこの連載では、「結婚」そのものの良さをダイレクトに伝えていきます。彼ら彼女らの言葉を通して、「『結婚』って悪くないかも」、と思えたら、ぜひ、前向きに考えてみてほしい。

とはいえ、「結婚」はゴールではありません。相手によって、それは天国にも、地獄にもなります。

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writer/yuzuka
photo/akilla

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執筆者 yuzuka
ナレソメ予備校の学年主任で、ナレソメノート編集長。元精神科の看護師で夜職の経験もあり。普段はエッセイストや脚本家として活動している。著書「埋
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