【チュートリアル福田】妊娠中の妻との確執。ふたりで乗り越えた方法とは vol.2
芸歴26年目のコンビ、チュートリアルでツッコミ担当を務めるお笑い芸人、福田充徳さん。M-1グランプリ2006での優勝を機に、お笑い界で確固たる地位を築いた。バラエティ番組の出演をはじめ、多方面で活躍し、その冷静なツッコミと多才な一面が幅広く評価されている。今回はそんな福田さんの、「結婚の哲学」を紐解いた。
妊娠中は、「家に帰りたくなかった」。ぶつかるふたりが、乗り越えた方法。
yuzuka:結婚して1年、奥様が42歳の時にお子さまを出産されたかと思いますが、妊娠中のサポートで心がけていることはありますか?
福田さん:いやー、正直に言うと、あの時はかなり大変な時期でしたね……。決していい旦那さんではなかったと思うし、めちゃくちゃぶつかりました。
妊娠中ってやっぱり、向こうは不安やし、イライラするじゃないですか。でもこっちはこっちで変わらずに仕事があるから、その感情全てに対応ができないんです。仕事から疲れて帰ったら奥さんがイライラしてる…というのが続いて、そのうちそれが嫌で家に帰りたくなくなってしまって。それこそ、「先に寝てくれへんかな」って、1人で夜遅くまで飲んで帰ったりする時期もありました。家に帰るのが怖くなってしまったんですよね。だけど、飲んで帰ったら帰ったでそれがバレて、「あんた、飲んで来たやろ」と、結局怒られる(笑)
yuzuka: 福田さんにとっても大変な時期でしたね。その状況はどうやって乗り越えられたんですか?
福田さん: 「これは一時的なものだ。赤ちゃんが生まれるまでの辛抱や」と信じて、とにかく耐えましたね(笑)
だけど実際には、出産したらしたで、また別の要因で情緒が乱れるわけです。あの時は、「嘘やろ、これいつまで続くねん…」と思いました(笑)
でも、考えてみたら当たり前なんですよ。出産って、肉体的にもめちゃくちゃ大変じゃないですか。そのボロボロの状態から夜中の授乳や夜泣き対応がはじまるわけで……。僕たちは2人とも実家が遠くて親族にも頼れなかったし、何よりうちの奥さんは高齢出産やったんで、余計にしんどかったと思います。
yuzuka:その状況から、奥様との関係を改善するために心がけたことはありますか?
福田さん:とにかく、協力できるところはするようにしましたね。まずは保育園への朝の送りは、できる限り僕がやるようにしたり…。
yuzuka:朝の送り…。言葉よりも大変ですよね……。
福田さん:そうなんですよ。それこそ深夜のバイクレースの生放送に出て、帰ってきたら深夜の2時で…。それでも次の日は朝6時に起きて保育園に連れて行かなきゃいけない…その後も仕事や…みたいなのもありましたし、ちょっとしんどいなって日は当然ありました。雨が降ってる時とかね……。
yuzuka:分かります…。
福田さん:だけど、それくらいはやらんとなって。日によって、どうしても預けられない時は楽屋に連れて行ったりもしてました。そういえば、一度息子が風邪をひいたとき、もうどうしようも無くて、ラジオの生放送を休んだこともあるなあ。「こどもが熱出たから、ラジオ休むわ」って(笑)徳井は徳井で、「ええよー」って、軽い感じで言ってくれるから、おもろかった。あの時は助かりました。
yuzuka:徳井さん、懐が深いです。その当時は、共働きだったんですか?
福田さん:あ、そうなんですよ。実は生まれた頃は奥さんが専業主婦やったんですけど、途中で僕から「働いたら?」って提案して。
yuzuka:なるほど。福田さん的には、奥さんが家を守ってくれた方が助かりそうですが、その提案にはどんな意図があったんですか?
福田さん:確かにそうですよね。それに奥さんも、もしかしたらその時は専業主婦をしたかったのかもしれない。だけど、なんだろう。うちの奥さんはもともと、外に出るのが好きなタイプやったんですよ。それが出産してからは、ずっと子どもにかかりっきりになっている。それを側で見ていると、「ずっと家にいることが、余計にストレスになるんちゃうか?」と思って。だから、「俺も手伝うから、ちょっと好きなことをしてみたら?」と。
パパ達が家事を苦手とする理由。「まずは教えてくれよ!」
yuzuka:共働きになり、育児や家事の分担はどうなりましたか?
福田さん:僕ができることは極力やる。どうしても物理的に無理なところは奥さんにお願いする、というスタンスになりましたね。「時間帯的に、僕ができることは僕がやります。ただ、物理的に仕事が入って、時間的に無理なもんは、それはもうできひんからお願いします」っていう感じでした。
ただ、実を言うと家事や育児に関して、うちはしっかりと分担を決めないようにしてるんです。そこをガッチリ決めてしまうと、 それも揉める原因になるのかなって。「やってない」とか「できてない」とか、「やるって言ったやん」って喧嘩の種になるじゃないですか。だからあえてふんわりとさせつつ、基本的には僕がやる。
yuzuka:さすがです。実は最近、X(旧Twitter)で「パパは家事や育児をうまくこなせない」という話題で炎上することが多いんです。特に「パパは育児ができない」「任せると不安」という意見がよく見られますが、この意見について福田さんはどう思いますか?
福田さん:いや、うちもいまだに奥さんにはよく言われますよ(笑)だけどそういう話題の時に僕がいつも思うのは、「まずは教えてくれよ」って(笑)漠然と「これやっといて」って言われて、それで自分なりにやってみると「やり方が違う!」って怒られる。それなら最初から具体的にどうやって欲しいか、ハウトゥーで言ってほしい。細かく指示されて、それがその通りにできていないなら「ごめん。次からやるね」となるけど、漠然と投げてきて、それを自分なりにやってみて文句を言われたら、誰だって「ちょっと待ってくれよ」と思いますよね。
yuzuka:確かに伝え方も大事な気がします。そのあたり、福田さんの奥様の伝え方が上手なんでしょうね。
福田さん:そうですね。うちの奥さんはちゃんとしてくれてると思います。例えばミルクをあげる時も、「何度のお湯でやるか」とか「どの順番でやるか」とか「ゲップはこう出す」とか。うちの奥さんは全ての手順を見せて、細かく教えてくれました。もしあれが、「ミルクあげといて」って漠然と言われただけやったら、どうしても抜けが出てたと思います。
yuzuka:たしかに…。パパたちも「何をどうして欲しいか」を知りたがっているのに、そこが丸投げだとお互いにストレスが溜まってしまいますね。
福田さん:そうなんですよね。あとは、僕が一番嫌いな台詞が、「子どもが可哀想やん」ってやつです。実際には、「え?これ、ほんまに子どもが可哀想なレベルか?」ってことが多いのに、自分の意見を通すために盾に使う。例えば、「たまには唐揚げとポテトだけでいいやん」って、そういうご飯を用意したら、「子どもが可哀想」と。そんなにパパの料理が気に食わないなら、作り置きしていったらいいやん、って思っちゃいますよね。あとは家事で言えば、「柔軟剤はこれ!このタイミングなのに!」とかね。細かいこだわりがあるなら、それは細かく指示してくれよ、と思います。自分でやるか、細かく的確な指示を出す。揉めないためには、これに限りますね。
yuzuka:「子供がかわいそう」。確かにその台詞、言われたら嫌だな…。
福田さん:ですよね。あとはね、できていない部分を指摘するだけじゃなくて、できている部分を褒めてあげた方がいいと思うんですよ。粗探しじゃないですけど、何でもかんでも「それは違う」って言われると、やっぱりパパも嫌になっちゃうから。これはお互いにですけど、「これもできてない」より、「あ、これはやってくれたんや」って。ありがとうの方を探すようにしたらいいと思うんです。ぎゃあぎゃあ文句言い合ってたら、2人ともやりたくなくなっていきますから。
yuzuka:関係性を保つためにも、お互いへの配慮が必要ですね。
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