【品川祐】結婚の哲学と家族への想い。結婚はゲームのクエストだ。 vol.4

芸歴29年目のコンビ、品川庄司でボケ担当を務めるお笑い芸人、品川祐さん。近年その活動の幅はお笑いだけに留まらず、作家や映画監督としても業界にその名を轟かせている。どの分野でもその実力は一流。アメトーーク!やロンドンハーツなど、誰もが知る番組で最前線のお笑い芸人として活躍する一方、自身が書いた作品が映画化する際には、自らが監督脚本を担当。現在はオリジナル作品も多数輩出し、その広い感性とマルチな才能がさまざまな業界で広く評価されているのは、皆さま周知のとおりである。

コンビ結成から29年。今でも多種多様な分野で活躍し続ける品川さんが、わざわざ不自由を伴う「結婚」を決めた理由はなんなのか。

品川さんと奥さんの出会いは、彼がまだ芸人になるよりずっと昔、なんと31年前に遡る。今回のインタビューでは、そんな品川さんと奥様とのナレソメ、そして、「結婚」そのものへの思いまで。品川祐流「結婚の哲学」を、丁寧に紐解く。

奥さんと結婚した決め手は「笑い上戸だった」こと

ーそれにしても、いろんな変化を伴う人生で寄り添っておられる品川さんの奥さん。どんな人なんでしょうか。

品川 俺の奥さんはね、めちゃくちゃゲラ。なんかさ、あの人といると俺も笑っちゃうんだよね。ちょっとどこかに遊びに行ったら、必ず明日テレビで話せるだけのエピソードが起きるような、すごい人だよ(笑)エピソードの宝箱なんだよね。俺は今も短気は短気なんだけど、だけどやっぱり、奥さんとは今でもほとんど喧嘩が無い。

ー品川夫妻のように仲睦まじい夫婦になるためには、どんな基準でパートナー選びをすればいいと思いますか?

品川 俺の中の一番の決め手は、「笑い」だったね。とにかく二人とも笑い上戸。うちの奥さん、俺がテレビを見てたら横に来て、バンって座った瞬間に爆笑するの(笑)なんの前振りも知らないのによく笑えるよなって、俺もそれで笑っちゃう。笑う角には福来たるっていうけど、とにかく大事なのは、「一緒に笑えるかどうか」だと思うな。俺が誰とでも笑って生活ができるかっていうと、絶対できないんだよね。うちの奥さんも…きっとできない気がする。俺がいい旦那さんとか、奥さんがいい奥さんとかいうこと以上に、とにかくそこの相性が良かったんだと思う。

ー「いつも機嫌が良い相手を選んだ方がいい」って、私たちもよく言ってます。

品川 そうそう。あとはさ、「相手が全然笑ってくれない」みたいな人ってたまにいるんだけど、それって自分が笑ってないからだったりするよね。自分が笑っていると、結構相手も笑ってくれない?誘い笑いって言葉があるくらいじゃん。奥さんが笑うと、俺が笑う。俺が笑うと、子供が笑う。そうやって伝染すれば家族みんな笑顔になる。

ー素敵です。そんな奥様と円満に過ごすために、品川さんが心がけていることはありますか?

品川 そういえば俺、奥さんの悪口を絶対に言わないんだよね。それってすごく大切なことだと思うんだけど、実は奥さんが先にやってくれてたことでもあって…。例えば娘に対しても、「パパのおかげだよ」って、いつも伝えてくれてるのよ。だからこそ娘は、多少反抗的な態度を見せたとしても、根本的なリスペクトは持ってくれている。それが奥さんのおかげだなって気づいてから、俺も真似するようになったのかもしれない。娘に対しても意識的に、「ママが毎日弁当作ってくれてるからだよ」とか、「これができるのは、ママの努力のおかげだよ」って伝えるようにしてるし、家の外でも悪口は言わない。

結婚は「大きなクエスト」。やらないのは単純にもったいない

ーここまで話してきた「結婚」について。実は、最近では良いイメージを持っていない若者も増えてきています。「結婚なんて微妙じゃん?」と思う若者に、品川さんから伝えられることはありますか?

品川 俺は正直、結婚なんてしたくないならしなきゃいいと思ってんのよ。ただ、単純にもったいなくない?とは思う。

人間って生まれてきてから、人生にいろんなクエストが出てくるじゃない。例えば「仕事に成功する」とか、「人助けをする」とか。ゲームで言えば「勇者の剣を手に入れる」みたいなやつだよね。その中で「結婚」って、俺は、人生において結構大きなクエストだと思う。同じゲームを買ったのにそのクエストをやらないのって、かなりもったいなくない?

そりゃあ、事情はいろいろとあると思う。だけど、「髪の毛を切ったら1日ハッピーでいられる。車を買うと1ヶ月ハッピーでいられる。家を買うと1年ハッピーでいられる」みたいな言葉があるじゃない。俺はそれでいうなら、「子供」は、何年にも渡って幸せでいられるクエストだと思ってるんだよね。

「自分の時間が無くなる」とは言うけどさ。俺も52歳だから言うけど、人生なんてほんとに一瞬ですよ。娘ももう14歳。あと6年もしたら20歳じゃん。そうなるとまた、嫁と二人っきりになる。子どもに手がかかる時間なんてどうせ、「秒」で終わってしまう。歳をとってからの時間って、本当にあっという間ですよ。

ー何年にも渡って幸せでいられるクエスト…。私にも息子がいるので、深く共感します。最後に、この企画「結婚の哲学」に因んで、品川さんにとって「結婚」とは何か、教えていただけますか?

品川 俺にとって結婚そのものってやっぱり、ただの書類なんだよ。ただの白い紙に「結婚しましょう」って書いてハンコを押しただけ。だけどそのただの「書類」に、ふたりで色を乗せていくことこそが、本当の意味での「結婚」なんじゃないかなって、最近は思う。結婚したら自動的に幸せになれるわけではなくて、それを楽しくできるかは自分たち次第なんだよ。彩るのは、自分たちだから。

その中で、「本当は黒着たいけど、子どもの入学式だから白いシャツ着て行こう」とか「赤ちゃんだからライダースは辞めて、やわらかい洋服にするか」とか「高い服買ったけどヨダレついちゃったな」とか。そんな譲らなきゃいけないことや我慢しなくちゃならないことがたくさん増えていくのは当たり前で、そんなことの連続で…。だけどそれを、一緒に笑う相手がいる。それもまた、楽しむ。俺は「結婚」って、そういうものだと思う。

品川さんとの出会いは、約5年前。仕事で出会った今以上に無名だった私の話を、目を見て真剣に聞いてくださったことを、鮮明に覚えている。

小さな噂話が尾鰭をつけたのか、今でも乱暴なイメージを持たれることのある品川さん。しかし実際の彼は物腰柔らかく、そして誰よりも、人の「笑顔」が好きな優しい人。今回のインタビュー中も、対面する私だけではなく、周囲のスタッフまでをもずっと“笑かす”彼の芸人魂のおかげで、現場には明るい笑い声が絶えなかった。

そんな周囲を笑顔にする天才の品川さんだが、彼自身の顔にぱっと穏やかな笑顔が浮かぶのは、やはり家族の話題になった時。

彼が紡ぐ家族への言葉から伝わるのは、深い愛情と、そこに心から身を委ねているような安心感、そして、奥深い尊敬の念だった。

「結婚なんて、しなくたっていい。 だけどどうせなら、やらなきゃもったいなくない?」

誰よりも「家族」の尊さを知っている品川さんだからこそ出る、そんな飾らない本音。

彼の言葉が、誰かの背中を押すことを祈って。

Screenshot

yuzuka

実際に結婚相談所で出会って結婚した夫婦のストーリーが見たい方は、結婚相談所の体験談へ。

ナレソメノートの最新情報や恋愛相談は、こんかちゅぱんだのXをフォロー。