【チュートリアル福田】結婚とは、「助け合い」。1人って、いつか飽きてこうへん?vol.4
芸歴26年目のコンビ、チュートリアルでツッコミ担当を務めるお笑い芸人、福田充徳さん。M-1グランプリ2006での優勝を機に、お笑い界で確固たる地位を築いた。バラエティ番組の出演をはじめ、多方面で活躍し、その冷静なツッコミと多才な一面が幅広く評価されている。今回はそんな福田さんの、「結婚の哲学」を紐解いた。
福田家のハウスルールは、「文句を言わないこと」
yuzuka:いろいろな修羅場を乗り越え、奥様と良い関係を築いている福田さん。長く仲良くやっていくために、心がけていることや、特に決めているハウスルールはありますか?
福田さん:僕が心がけているのは、極力文句を言わないことと、怒らないことです。というのも、相手は他人なわけですから。結婚したとしても、当たり前に合わないところはたくさんあるはずなんですよね。
「結婚する」って、それを受け入れる覚悟をすることやと思うんです。多少気に入らないことがあっても、ある程度は我慢するし、気に入らないなら自分でやる。とにかく相手に多くを求めないというのを心がけてはいますね。まあ、全然違う生活を送った2人が一緒になるんやから、そりゃあある程度ぶつかるところはぶつかりますわ。それが嫌なんやったら結婚しなけりゃいいなって僕は思うかな。
yuzuka:そのスタンス、すごく参考になりますね。その考えの中で、「こういう相手を選ぶとヤバい」みたいな見極めポイントはありますか?
福田さん:そうですね、相手にすごく依存するタイプの人かな。そこから共依存みたいになっちゃうこともありますけど、やっぱりその関係性は、あんまりよろしくないかなって思いますね。
何度も言うように、「結婚」とはいえ、最初の1歩は他人なわけですよね。そこから一緒に歩いていって、徐々に家族になっていくわけじゃないですか。それをいきなり、まるで「自分の血縁」みたいな感じで相手に依存したり、何かを求めちゃうと、それは許されへんし、うまくいかんで、と。やっぱり相手に遠慮がなくなると、うまくいかない。ある程度の配慮がある関係を保てない人は、短期的なら良くても、結婚相手としては厳しいと思いますね。
結婚のメリットと、まわりの独身芸人に思うこと
yuzuka:いろいろと話していた中で、「結婚しても、人生はあまり変わらない」というお話が出てきたと思うのですが、それでも結婚をする意味というか、メリットみたいなものって、福田さんの中で思い当たりますか?
福田さん:そうやなあ、でも、 一番のメリットは安心感なんちゃうかな。この先、何があってもこの3人で家族として一緒に過ごしていける。その安心感が大きいですね。正直、もし今の奥さんと結婚していなかったら、僕は今の年齢でもずっと独身のままだったと思うんですよ。それを想像すると…ちょっと怖いですね。
yuzuka:どんな怖さを感じますか?
福田さん:生活がめちゃくちゃになってたんちゃうかなって(笑)規則正しい生活とか一切できませんし…あとは何より、自分に対してちゃんと言ってくれる人がいなくなるというのは大きいですね。
yuzuka:奥様からのマジレスですね。
福田さん:そうそう。この年になってくると周りは年下ばかりやし、50代のおっさんには誰も注意してくれないんですよ。「それはあかんで」って、客観的な意見で注意してくれるのって奥さんだけなので、そこはすごく感謝しています。いなかったら…と想像すると怖いですね。
yuzuka:確かに…。結婚をしていないと思想が偏っていくというのは、Xを見ていても思います。でも、福田さんの周りには独身でも幸せそうな方がたくさんいますよね。彼らについて、どう思いますか?
福田さん:やっぱり独身の友人たちが楽しんでいるのを見ると、「ああ、あの自由もええなあ」って思うことはありますよ(笑)ただ、どちらが良いかというより、それぞれの時期に楽しむべきものがあるんだと思います。独身の頃は自由がありましたし、それはそれで素晴らしいことやった。でも、結婚して家族を持つことで、また違った意味での満足感や安心感を得られるようになるのも事実。
ただ、楽屋で話をするときは、結婚や子供の話題を出すのに少し気を使いますね(笑)
yuzuka:やはり、気を使う部分があるんですね。
福田さん:ちょっとは気を使いますよね(笑)だから女性は、もっとやと思います。ただ、芸人ってちょっと特殊やと思うんです。例えばレジェンド今田さんとかは、ずっと「結婚したい」と言いながら、してないんですよ(笑)最早ほんまにしたいのかは分からないですけど、でも、彼らは彼らでめちゃくちゃ楽しそうなんですね。なんやろ、日々を楽しんでいるというか。
だけどそれはやっぱり、彼らにそれなりの知名度と経済力があるからやと思うんです。しようと思えば、まあいつでもできるわけで。
だけどそれこそ、もし僕が今の年齢でしがないサラリーマンの独身やったらと考えると、ちょっとゾっとしますよね。正直、ここから結婚できる気がしないし、将来にもすごく不安を感じていたはず。だって45歳越えたら、武器は金しかないですからね(笑)それもなかったら、難しいですよね…。
独身は確かに楽しいけど、僕はあくまで「短いスパン」で見た時にやと思うんです。1日1日を生きる、みたいな。それを楽しめて、将来も後悔しない環境なんやったら、独身もええんちゃうかなあ。あ、あとはペットを飼うと、よりその思いが強くなるみたいですね。
yuzuka:ペット…?
福田さん:僕の相方の徳井も、猫を飼ってから、よりひとりでも満足するようになった気がします。あとはフットボールアワーの岩尾さんとかも、ワンちゃん飼って溺愛してますし、結婚せえへんのちゃうかな…。あ、そういえば今田さんも最近、「犬飼いたい」ばっかり言うてるな…これは終わりや……。
yuzuka:(笑)独身でバリバリ仕事する人達もいる中で、福田さんは結婚や育児を経験しましたよね。その経験は、仕事に何か影響を与えましたか?
福田さん:そうやなあ…。結婚してからは「奥さんを養わなきゃ」という責任感が芽生えて、仕事へのモチベーションが確実に上がったかもしれません。さらに子供が生まれたことで、そのモチベーションがさらに高まったというか。子供が「パパ、頑張って!」って応援してくれるんですよ。それが本当に嬉しいし、「もっと頑張らなきゃ」って思います。
yuzuka:結婚や育児が福田さんにとって、仕事へのポジティブな影響を与えているということですね。
福田さん: そうですね。家庭があるからこそ、仕事で成功したいという気持ちが強くなりますし、独身の頃とは違って、家族のために頑張れるというのは、結婚の大きなメリットだと思います。
yuzuka:ここまでお話を伺ってきて、福田さん自身の価値観が、結婚や育児をキッカケに大きく変わられたことを感じています。今の福田さんにとって、「結婚」とは、なんでしょう?
福田さん:めちゃくちゃ難しい質問やな。でも、僕が思う結婚とは…「助け合い」ちゃうかな。
お互いで、共通の「幸せ」というものを目標に旅をする感覚に近いです。その過程で、つまずいたり、疲れたりした時に、お互いで助け合うことができる。その中に、出産や子育てもあって……。揉めたり、楽しんだりしながら、それを2人で乗り越えることでお互いの絆が深まっていく。結婚って、そういうものなんちゃうかな。
yuzuka:確かにそれは、1人ではできないですよね。
福田さん:そうそう。1人やと、いくらその旅が楽しくても、感想をいう相手すらいないですからね。何か食べて「めちゃくちゃ美味しいな」とか、「うわ、これめっちゃ綺麗やん」とか。そういうのが言える相手が横にいるって、幸せですよ。
yuzuka:たしかに…。1人でも楽しめるけど、それを伝えられる相手がいれば、世界はより輝くかもしれませんね。
最後に、福田さんから結婚について悩まれている若者に何かメッセージはありますか?
福田さん:若い時って、1人でも楽しいじゃ無いですか。好きなことできるし、誰とでも付き合えるし。それって最高なんですよね。でも、僕が思うのは、それっていつか飽きてこうへん?ってところですね。何十年経っても、その生活が最高って言えるんかな?って。まあ、僕も結婚しようと思えるまで時間がかかったので、偉そうにいえないんですけどね(笑)
結婚か…結婚…でも、やっぱり結婚や子育てって、楽しいですよ。
「もう、子どもがおらん生活なんて考えられへんなあ」
時折、そんな言葉をつぶやく福田さん。
実際にインタビューの合間にも、おすすめの育児グッズやパパ友とのお話など、お子さまに関するお話は絶えない。その柔らかい表情は、誰がどう見ても“パパ”。
お仕事を通してでは見られない貴重なその姿に、思わず心が綻んだ。
「自由」は、魅力的だ。
1人で生きることにも、メリットはあると思う。
だけど一方で、今回の福田さんのインタビューを通して感じたのは、「結婚や育児には、「1人では見られない世界」を見せてくれる力がある」ということ。
同じ幸せを目指し、手を取り合って困難を乗り越えられる素敵なパートナーを見つけて、「感じたことのない世界」を見るという選択もありなのではないだろうか。
【チュートリアル福田流 結婚の哲学】
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ナレソメ予備校の学年主任で、ナレソメノート編集長。元精神科の看護師で夜職の経験もあり。普段はエッセイストとして活動している。著書「埋まらないよ、そんな男じゃ。」(逆旅出版)他3冊。「五反田ほいっぷ学園」原作。「好きな人はいつも、好きになってはいけない人」脚本。日刊spa!でも取材記事連載中。