モテコンサル勝倉が出産を経て、感じたこと。「キャリアも出産も、諦めないための相手選びを」
「出産してすぐに、その時の気持ちを記事にしよう」
生まれる前から計画していた約束を果たすため、勝倉さんが入院している病院にやってきた。
だが、実は病室に入るまで、私の心臓は落ち着かなかった。
というのも、その時点でもなお、勝倉さんから正式な出産報告が無かったからだ。
「今から陣痛促進剤を入れる」という連絡を受けてからも、勝倉さんはXや社内チャットに登場し続けていた。翌日になっても、社内ミーティングをこなしている様子。一体どうなっているのだろう?もしかして、陣痛がなかなか来ないのか?とそわそわしていた矢先に届いたのは、「明日取材に来ていいよ」というLINEメッセージだった。資料の写真に映り込んだ、少しミルクの残った哺乳瓶。
「え、もしかしてもう産んだ?いつの間に?」
そんな気持ちを抱えたまま、指定された病室に向かう。
恐る恐る扉をノックすると、病衣を着ている以外はいつも通りの勝倉さんが現れた。
「オレンジジュースとリンゴジュース、どっちがいい?」と、にこやかに対応するいつも通りの彼女に、「おめでとう」より先に、「大丈夫ですか!?」と声が出てしまった。
勝倉さんは笑いながら「全然大丈夫」と返し、その奥には、コットに入れられた小さな赤ちゃんが静かに寝息を立てていた。「可愛い」と私が呟くと、勝倉さんも赤ちゃんを見つめ、目を細めた。
そして、赤ちゃんをじっと見つめるポメさんも、そばに静かに座っていた。
「いつまで見ていても飽きないな」と、視線を動かさずに呟くポメさんの顔は、幸せそのものだった。
4年間の不妊治療で費やした500万。不妊治療は「精神がやられる」。
勝倉さんが不妊治療を始めたのは31歳のとき、4年前のことだ。
タイミング法から始め、人工授精や体外受精、保険適用外の治療まで、様々な手段を試みた。仕事の合間を縫って治療を続けても結果はなかなか出ず、幾度となく「また全滅」とXに呟いた。体外受精の回数は、着床までに7回を要した。
当時は気丈に振る舞っていた彼女だったが、改めて話を聞くと「精神がやられるよね」と力なく笑う。
「不妊治療って終わりが見えない。時間もお金もどんどん溶けていく。そこまでしても尚、『できないかもしれない』という未来もある。『私は女としては出来損ないだ、ポメ(夫)は悪くないのに可哀想だ。こんなのと一緒になってごめん』という罪悪感はたまらなかったな。だってあの善良な人は、子供を理由に、私と離婚なんてできないってわかっていたから。私もそれがわかった上で、離婚の選択肢なんて当然ないものとして振る舞っていた。その罪悪感を打ち消すように、身体と財布を痛めつけながら、ハードな治療に没頭することで救われていたように思う。無理やり前を向いて、ひたすら可能性を信じて賭け続けるしかないのが私の不妊治療だった」
一時は本気で、代理母出産まで考えるほど思い詰めていた勝倉さん。
そして出産するまでの4年間で費やした金額は、約500万円にのぼった。
だからこそ、と、勝倉さんは語気を強める。
「私は『恋愛・結婚を通じてQOLを上げる』をモットーに、ずっと婚活業界の第一線で発信してきたつもりだけどさ。たびたび『若くして婚活した方が良いよ』というのは、この経験からも来てる。特に子供を希望している人に対しては、なおさらそう思うんだよね。だって不妊治療ってね、沼なの。結果が出るまでやめられないし、逆に言えば結果が出るまで、どこまででもできる。「治療をやめる=子供を諦める」を意味しかねないシビアな戦いを、終わりも見えない中で続けるのは、精神的・金銭的にすごく辛いこと。だから、成功確率が極端に下がった年齢から婚活や妊活をやるのは、個人的にはどうしてもおすすめできない。
それに私の体感として、体力や家族計画を考えても早く産んだ方がメリットは大きいと思うな。私もいま産後だけど、やっぱり出産のダメージは大きいから。「若い方が回復も絶対に早くて楽だよな」と思う。もし私が就職したての22歳に戻れたとしたら、間違いなく25,6歳でライトパーソン(ふさわしい人)と結婚して、28歳には妊娠できるように計画する。私は早くから婚活を始めたけど、1度離婚して再婚したから、結局35歳での第一子出産になってしまった。だから、ただ結婚すればいいのではなく、しっかり自分に合った人と結婚することが大事だね。私はここから目標の3人を作ろうと思うと、全員年子でインターバル無しに産んでいくしかない。なかなか厳しい戦いだよね(笑)」
一昔前には、「女は25歳が賞味期限だ」と、若くして結婚することへの社会的なプレッシャーがあった。たしかにあれは歪んだ価値観で、多くの人の選択肢を狭めていた面も否めない。
しかし「配慮」という名のオブラートが分厚くなればなるほど、誰も現実を教えてくれなくなるのもまた事実だ。
ネットや女子会には、無責任な「あなたならまだ大丈夫」や「年齢なんて関係ない!」などの、耳触りよく甘い言葉に溢れている。一見優しく感じられるこれらの言葉を鵜呑みにして年齢を重ねた先に、ふと周りを見渡すと・・・完全にレールに乗り損ねてもう手遅れ、子供どころか、結婚も絶望的だなんてケースもざらにある。
彼女が日々発信する強い言葉には、理由がある。「結婚を望む人には、幸せな結婚生活を叶えてほしい」という一貫した想いと、彼女個人の辛い実体験もあるからこそ、何度だって言葉を尽くしてマジレスを続ける。甘くて優しいけど無責任な言葉に逃げず、叩かれようが嫌われようが、現実を伝え続けようとする姿勢こそが彼女の「優しさ」なのだと、改めて思う。
陣痛は、「トラウマレベル」。勝倉さんが経験した「妊娠と出産」の実際。
終わりの見えない不妊治療を経て、ようやく子宝を授かった勝倉さん。
心配している私たちをよそに「出産の何が怖いの…?」とぽかんとしていた彼女の「妊娠・出産」の実際は、一体どのようなものだったのだろう。
実は妊娠期間中、彼女は出産の前日まで業務の通常稼働を行っていた。
「立場上、抜けられない仕事もあるからね」と笑いながらYouTubeの撮影にも来るし、成婚パーティにも現れれば、面談や社内ミーティングも欠かさない。心配する周囲をよそに、本人的には臨月の大きなお腹をかかえても、体調には大きな変化が無かったらしい。
「妊娠期間中、途中まではつわりもメンタルの不調も無く、仕事にも全く支障が無かったんだよね。ただ、出産間近になった頃から体重が増えはじめて、目に見えてむくみも激しくなった。妊娠高血圧症と診断され、その頃には病院からも管理されはじめたな」
実は私が彼女の無事を実際に目で見て確認するまでに緊張感を持っていた理由のひとつに、彼女が「ハイリスク妊婦」だったことが挙げられる。
「出産予定日付近に検診に行ったら、血圧の問題と一緒に、『羊水が少ない』って言われて。結局予定より少し早めに管理入院することになった」
予定外の管理入院ではあったが、医療の手厚いサポートの甲斐あって、体調は落ち着く。結局予定日より少し早い日程で、陣痛促進剤による出産準備が始まった。
「陣痛」。
出産が長く、苦しい戦いとなる要因となる子宮収縮の独特な痛み。
実際に体験をした彼女に感想を尋ねると、即答で、「まじで痛かった」と笑った。
意外な言葉に、私も不謹慎ながら思わず吹き出す。
あのポーカーフェイスの勝倉さんが、「のたうち回った」と言うのだから、やはり「陣痛」は凄まじい。
「ギリギリまで麻酔無しでやってみて、『どうしても』と思ったら、麻酔を入れようと思ってたんだよね。だって麻酔代18万円だよ?できれば浮かせたいし、案外いけるんじゃない?って、痛みについては結構甘く見てた(笑)だけど、子宮口5cmから8cmまでが結構あっという間に開いて、そのあたりから耐え難い痛みが襲ってきたんだよね。しかも『明日の朝になりそうかな』って言われたから、ちょうどポメ(夫)を一度家に返したタイミングだった。
一人になった途端に痛みが何段階も上がって、あちこち蹴ったり、ベッドでのたうち回るレベルになってきて…(笑)もう本当に痛くて、想定していた痛みのMAX値が10だとしたら、子宮口8㎝段階で30は軽く超えてたね。あれは、トラウマレベルだった」
多くの経験者が言語化できない痛みの種類について、勝倉さんは懸命に表現を試みる。
「子宮を思い切り握りつぶされながら、下半身の骨が全て外れる感じ(笑)なんというか…神経を直撃するような痛みなのよね。しかもそれが、結構な頻度でやってきて、終わりが見えない。私の場合は、45秒痛みが続いて、1分半和らいで……の繰り返しだったんだけど、いつ生まれるかも分からない中で、『これが朝まで続くの?』って。気の遠くなるような絶望感があったよね。あれは精神攻撃や拷問としても効果抜群だと思う(笑)叫びはしなかったんだけど、とにかく暴れるしかなかった(笑)」
気が狂いそうな痛みの中、正気を保つためにストップウォッチで陣痛の秒数を数える。「あと少しで終わるはずだと思わないとやっていられなかった」らしい。
「もう耐えられなくて、『麻酔をお願いします!』って頼んで無痛分娩に切り替えたんだけど、そこからなかなか麻酔が効かなくて。『効かん!!強いのをくれ』ってお願いしたら、麻酔科医のファンキーな先生が、『これとこれを混ぜれば効くからね』って、カクテル作るみたいに薬を調合して入れてくれた(笑)そこからすっと痛みが治ったから、麻酔のすごさを感じたね」
一方、痛みが一段落した頃にかけつけたポメさんは、別の意味での緊張感を感じていた。
「実はその時、赤ちゃんが横向きになっていて、なかなかうまく回旋できなかったんですよね。お医者さんから、『このままだと帝王切開になるかもしれません』と同意書を書くように言われて、なんというか、刻一刻と状況が変わる緊張感というか、生々しさを感じました」
一時は緊急帝王切開の可能性もちらついたお産ではあったが、最終的には赤ちゃんが頑張ってくれたおかげで、スムーズに回旋し、出産。
陣痛が始まってから出産まで、約12時間。
お産で言えば平均的で、初産の中では『安産』だと言われる部類だった。
生まれた瞬間、まず勝倉さんが感じたのは、「ようやく終わった」という安堵感。
「出産って、思っていたより自力で頑張っていきまなきゃいけなくて。赤ちゃんがグリグリ降りてくるから、母体は後押しする程度なのかな?と思ってたんだけど、「こっちも全力で押し出さなきゃいけないんだ…」って、産みながら気付いた(笑)。ウンウン唸って、顔真っ赤にして、自分で脚を持って抱えて、何回も何回も全力でいきんでブリッと出した感覚だよね。
『嬉しい』とかよりも、まずは『やっと出た』みたいな気持ちが先に来た覚えがある。終わった後は、むしろスンって感じだった」
そんなどこか冷静な勝倉さんのそばで、喜びの声をあげるポメさん。
「横にいるポメ(夫)は、生まれるまでもずっと一緒にいきんでくれてたし、生まれた時はあんな声、初めて聞いたってくらい、『よくやった!』って感激してて。それが大谷が50-50達成した時の熱い声援みたいな、感極まって涙が混ざったような声だったのを覚えてる(笑)」
当初は立ち会い出産を望んでいなかった勝倉さん。密着動画を撮るために、急遽夫を立ち会わせることになったわけだが、結果、「立ち会いは絶対にした方がいい」と、意見が変わったと言う。
「まず、『旦那は役に立たない』っていうけど、めちゃくちゃ役に立った。出産時は動きたくなくなるからね。そんな時に『これやって』『あれやって』と遠慮なく頼める相手がいるのって、それだけですごく気が楽になるよ。
それに、あれだけ貴重な経験は、絶対そばで見てもらった方がいいと思う。一生に何度もない体験だから共有した方がいいし、見せつけたほうがいい(笑)私も最初はいろいろ垂れ流すことになるし、乱れている姿を見られたくない……とか気取ってたけど、実際に出産がはじまると、あの場所ってなんでもありなのよ。お股も全開、うんちもおならもオシッコも垂れ流し。痛みに耐えるブサイクで必死な顔も、獣のような雄叫びも晒し放題。
でもね、誰もそんなこと気にしてない独特の空間だから、心配してたことは全部どうだってよくなる。1人の原始的な人間として、丸裸になって頑張る瞬間を立ち会いで共有することは、『共に乗り越えた』という成功体験にもなって、その先の夫婦関係にも良い影響を与えると思うよ。人間の想像力には限界があるから、実際に見てもらわないと伝わらないもんね。もしもそれで『女として見られなくなる』とか言う相手なら、その人との関係性っていずれにしろ先が短いんじゃないかな」
同じく、急遽立ち会うことになった夫のポメさんも、「絶対に立ち会いをするべき」と、熱く語る。
「出産動画を見たりして知っていた気にはなっていたけど、あれってダイジェストなわけですよね。やっぱり、実際に体験すると全然違う。ちゃんと目に焼き付けるべきだと思うし、立ち会って良かったと、心から思っています」
翌日に湧いてきた実感。「感じたことのない感覚」。
勝倉さんの産み落とした命。
体重は、3142g。よく寝て、よくミルクを飲む可愛い男の子。
出産当日は2ℓの多量出血の影響もあり、「実感」を沸かせる余裕がなかった。どこか冷静で、感情が追いつかない。
そんな中、出産2時間後には仕事に復帰した。
立場もあり、勝倉さんには、どうしても「仕事を休む」という選択肢は取れないのだ。
一方、退院後は主に夫であるポメさんが育児を担当する予定であるとはいえ、入院中は母子同室で、夜間は生まれたての新生児とふたりきり。入院中の夜間授乳は、当然勝倉さんの担当となる。
息子を産んだ日の深夜、静かな部屋でおっぱいを飲んで寝ついた息子を、改めてじっと見つめる。
その時不意に、「『この子がいない人生なんて無理』と思う自分に気づいた」という勝倉さん。
今まで、他人の子どもに「特別可愛い」という感情を抱いたことはなかった。
「自分の子どもは本当に可愛いよ」と語る友人の話を聞くたび、「そんなことあるか?なんで皆、判を押したように同じことを言うんだろう」と不思議な気持ちだった。
だけど目の前にいる我が子を見て初めて、彼女たちの言葉に深く共感したのだと言う。
「言葉では言い表せないような気持ちで、本当に不思議だった。だって、我が子とは言えまだ生まれたばかりで、愛着なんて無いはずの状態じゃない。それなのに突然、天と地がひっくり返ったみたいに、『この子と歩む人生』にガラッと価値観のベースが変わったというか。革命的な気持ちの変化に本当に驚いたのと同時に、子どもを産んだ人たちが揃って言う『価値観が変わる』って、これなんだなって。たぶん、ホルモンとかの影響なんだろうけど」
今までは、子どもが入れないような高級なレストランで食事をするのが好きだった。オシャレをして青山を気ままにうろついたり、夫とふたりでラグジュアリーな旅行に行ってのんびり過ごすのも、大事な息抜きだった。
妊娠が分かった時、「あの時間がなくなるのか」と、少しだけ寂しくなったのも事実。
だけど我が子を手に抱いた瞬間、その全てがどうでもよくなった。
「仕事を除いて、この子以外のことの優先順位がガクッと下がった感じがする。海外旅行とか、あのレストランに行きたいとか、自由気ままに過ごしたいとか、「一旦どうでもいいな」って思えたんだよね。我慢してるとかではなくて、自然と思えたってところがポイント。この感覚って多分、子どもでしか味わえない『何か』なんだろね。この世に同じようなものって、無いんじゃないかって思う。
以前、『結婚の哲学』で品川庄司の品川さんが同じように『子ども以外のことなんて、どうでもよくない?』みたいなお話をされてたんだけど、『まさに』って感じで。独身でも仕事で成功するから良いとか、趣味が充実してるとか、友人がいるとか…たしかにそれも楽しいよなって思ってたんだけど、ちょっと次元が違う気がして。だからもし、結婚や子供を持つことを少しでも検討している方であれば、ぜひ体験してみてほしいなと思う。子供を持つことで大変なこともあると思うけど、それ以上に楽しそうな未来が待ってると思うし、とってもワクワクしてるもん。一方で、望んでも授かれない人がいるのは、私が不妊治療をしていた身だからよく分かる。だけどチャンスがあるのに理由をつけて掴もうとしない人は…これを味わわずにいるのはもったいない。本当にもったいないと思う」
何か不思議なことを体験しているような、それでいて、その感覚を必死で言語化するような彼女の表情は、終始柔らかかった。
『恋愛・結婚を通じてQOLを上げる』が私やナレソメ予備校のテーマだけど、子供ができても更に上がっていくんだな!!と確信が持てました」
実際に出産を経て読者に伝えたいのは、「理想の分娩から逆算する相手選び」。
妊娠出産は大変なものだと思いつつ、遥かに壮絶だった「出産」を乗り越え、我が子を抱く勝倉さん。
実は彼女の目標は、3児の母。今後始まるであろう育児、そして再び訪れる妊娠出産を控え、今読者に伝えたいことを尋ねてみる。
「そうだな…どうしても個人の感想にはなる前提で話すけど。まず、ネットで皆がビビっている会陰切開はどうってことないから、そこまでビビらなくて良いかと。私は勝手に裂けたけど、1日結構痛いくらいで、それでも痛み止めでなんとかなるレベルだったよ。
だけど陣痛は、想像よりずっとずっと痛かった(笑)だからこそ言いたいのは、『女性が希望するなら、麻酔代をケチるな』ってこと。今回の出産を通して、全国の普通分娩で産むママたちは本当すごいと思った。私にはできない。今後産む女性たちに関しては、病院も麻酔も、『そこで金をケチるような男は選ぶべきじゃないよ』と伝えたい。
無痛分娩をすると10万円はするだろうから、確かに安い金額とは言えないし、地方だとそもそも選択肢が少ないというのもあると思うよ。だけど、できるだけ快適なところで体力消耗をせずに産んでもらうことで、その後の夫婦関係が変わると思えば、大事な人のために精一杯環境を整えるための金額を払う価値はあると思うし、逆にそれをケチるってどういうこと?と思う。
そりゃあさ、あれだけ痛い思いをしてるのに立ち会いもせず、金も出さず、それでいて家事育児も手伝ってくれずに『俺のメシは?』とか言ったり、出産でボロボロの女性に『生活費は折半だろ?』と融通を利かせない夫がいたら、夫婦仲も悪くなるしXで愚痴りたくもなるよね。そんな相手と結婚してしまったら、もう結婚してQOL向上どころの騒ぎじゃない。だから、相手選びは大事だよって話も、私は繰り返し発信しているんだよね。
そして男性達は、結婚するほど好きな女なら、立ち会いするとか、快適にお産をするための環境に金をかけるとか、それくらいした方が自分へのリターンも大きいと思う。一番伝えたいのはさ、私は常に言ってるけど、いつも想像力を持ってお互いを思いやるのが夫婦円満には大事だと思うの。それでいうと、ここは出産という大イベントに臨む女性の気持ちを男性が想像して、不安な声にも耳を傾け、なるべく寄り添ってあげるタイミングだと思うよ。それができるかできないかで、出産後も仲良く夫婦関係を維持できるかが分かれるし、別のタイミングで男性自身に思いやりが返ってくるかも分かれる。思いやりも返報性が働くからね。そして女性は、それすらしてくれない男とは絶対に結婚するな。これは、強く伝えたいね」
続けて、出産を経てより強く「ドーパミン脳」で結婚することへの危険性を感じたのだと、彼女は強く主張する。
「改めて思ったけど、出産を経ると、完全に夫婦の関係性の次元が変わるよね。恋愛の時に重視しがちな『オスみ』とか『ときめき』、まじでいらなくなるのよ。だってそもそも、子育ての間って、『エロ』とは遠く離れることになるよね。例えばおっぱいひとつとっても、それはただの『子育ての道具』になる。私なんかもう、ポメの前で上半身裸で黒乳首を握りしめて必死で授乳してるし(笑)子供を産むともう、やらざるを得なくなるし、そういう姿を見せざるを得なくなる。それを分からないで、『エロ』だけを重視して結婚しちゃうとさ、生活と夫婦の関係性が変わった先でドーパミンを他者に求められて、浮気されやすくなるじゃん。
だからこそ、『ドキドキ』や『エロ』だけに価値を置いている異性とは、生涯のパートナーになるべきではないし、自分もそこを重視しすぎると結婚後に辛くなると思う。『オスみ』なんて、精子をばら撒く段階でしか役に立たないのよ。目線を少し中長期的に考えると、結婚や出産した先に、それはなんの魅力にもならないことがわかる。ときめきもエロも当然あって良い。だけど、大前提『人間としてしっかり関係構築ができている』がないと、妊娠出産を経た関係の変化に耐えられなくなると思う。
好きな人と結婚するのはいいことだと思うし、ナレソメ予備校の会員様もみんな好きな人とご成婚している。私だって好きな人と結婚してる。ただ、『好きなだけ』で結婚するのはやめて欲しいな。ちゃんとお互いに人間関係を構築できる相手か、思いやりを持って関わり合えてるかをチェックしてほしいよ。辛い目に遭うのは、あなただから…」
「恋愛・結婚を通じてQOLを上げる」ための相手選びの重要性を説きながら、妊娠出産を経て新たに閃いたその方法について、「理想のお産と育児から逆算して相手を選ぶのはどう?」と話す勝倉さん。
ドキドキを越えた先にある日常こそが長く続くからこそ、『その時』に横にいても不自然ではないパートナーを選ぶ。
結婚におけるパートナー選びは、自分が一時的にドキドキできる「3ヶ月付き合う恋人選び」とは違うはず。「自分がお腹を痛めて産む大切な我が子」の父親選びでもあり、自分の修羅場を最も近くで支えてくれる相手選びと考えると、選択のしかたに違いが出るのは、頷けるかもしれない。
「欲しいものは、全部手に入れて」。今、一番伝えたいこと。
出産を経て、「産んでみないと分からないことだらけ」と語る勝倉さん。
例えばXに大量に存在するママ垢についても、初めて理解が進んだと笑う。
「暇だからXしてるんじゃないんだよね。イレギュラーに発生する育児に手を取られて、何もできない隙間時間が頻繁に発生する。あの時間って、Xだけは片手でもできる、むしろXしかできないんだなって共感した(笑)」
また、日本における医療の発展と、医療従事者の献身に対する感謝はつきない。
「ほんと、日本の医療のレベルの高さは素晴らしいですよね。妊娠出産は当然ながら大変なものだし、舐めるべきじゃない。その上で、日本ってこんなに医療が進歩してて、医療従事者が手厚いサポートをしてくれる。清潔で安全な環境で産むことができるのは本当に感謝しかないと同時に、出産を怖がっている人には、『油断はもちろんダメだけど、日本の医療はしっかりしているから、過度に心配はしないでいいんじゃない?』とは伝えたいな」
壮絶な出産を控えていても不思議なくらいに落ち着いていた彼女には、日本の医療と医療従事者への徹底的な信頼とリスペクトがある。
新たな命の誕生。価値観がひっくり返される大イベント。最後に、そんな怒涛の数日間に取材を組み込んでまで、今の勝倉さんがこの記事を読む読者に最も伝えたいことは何か、聞いた。
「子どもが生まれると、その途端にがらっと生活が変わって、今までの世界線がシフトする感覚があった。物事の優先順位や、幸せの価値観も変化したり、楽しみを感じる対象が増えたりとか。そこからは完全にゲームチェンジが起きたイメージ。
だけど、それってマイナスの意味ではなく、寧ろプラスの変化の方が大きいと思う。何かを失ったのではなく、今までのベースにアドオンで得たもののほうが大きい。
でも、それを実際に経験していないうちは、どうしてもその世界線が見えないし想像もできないから、どちらかというとネガティブな情報に引っ張られてしまいがちだと思うんだよね。
だからこそ、これを読む人には、『扉の先には想像を超える新世界があるらしい』と、なんとなくでも知ったうえで、ライフデザインしてほしいな。つまりは、いま独身の段階でイメージできるものには限界がある、と知ってほしい。
嫌味とかではなく、「結婚や出産したら失うものが大きい」「今あるもの以上のメリットがなさそう」と思っている独身男女は、独身男女の価値観のまま語っているから、そう感じているわけよね。
でも、既婚や子ありになったら、価値観そのものが今とは変わる可能性がある。
そうしたら、必然的に大切にしたいもの自体も変わっていくから、『独身の今』大事なものがずっと大事か?というと、そうでもなかったりする。つまり、皆が心配する『喪失感』って意外と持たなくて済んだりするんだよ。
『人生のフェーズを進めていくことで、『いま』想像できるものを超えていく何かがある』
その可能性を認識してもらえたら、結婚や出産に前向きになれる人は増えそうな予感がしている。
私自身、妊娠出産を経てその『ゲームチェンジ』を強く感じたから。簡単に言えば、『子供が産まれたら産まれたで、また新しい楽しみとかやりがいはある」
出産や子育てに、マイナスなイメージを持ちすぎないで。
当初は自分も同じだったからこそ、そう語る勝倉さんの気持ちは熱い。
「シビアな話でいうと、今までは『出産』となると、女性側はキャリアか家庭かを選ばざるを得ないのが現実だったよね。だから『何かを失うかも』とイメージしやすいのは仕方ないかもしれない。でも今の時代は、相手選びさえ間違えなければ、ほしいものは全部手に入れられる。あなたを心底思いやってくれる協力的な夫になる人はこの世にたくさんいるし、その人と結婚すれば、1人でいる時よりも、寧ろやれることは増えるし、得られるものも多いはず。
家庭と仕事は両立できるし、どちらかを捨てる必要はないんだよ。
『1回きりの人生だし、どうせだったら欲しいもの全部取りしてほしい!』って思うな。
それを私自身が目指したいし、ナレソメに関わってくださる方々にも、顧客の皆様も従業員も含めて、『1回きりの人生だし、どうせだったら欲しいもの全部取りしてほしい!』を目指せるサポートを提供したい。
前向きに人生を進めていく人々を応援して、『恋愛・結婚を通じてQOLを上げる』というナレソメ予備校のミッションを引き続き実現していきたいなって、そう強く思ってる」
「妊娠や出産、そして育児は想像を超える」。
人々の価値観を大きく変える、壮絶な体験。
しかし、それを越えて胸に抱く我が子は、何を犠牲にしても構わないと思えるほどに、尊い。
新たな試練を乗り越え、経験を積んだ勝倉さんは、きっともっと、強くなる。
最後に、これを書いている私自身も、1歳半の息子を育てる母だ。
そんな私が最近感じたことを、記しておく。
ある日の明け方、夜泣きで起きてきた息子が泣き止まず、眠い目をこすりながら、気分転換に近所の公園まで歩いた。
だっこで行こうと思ったけど、息子はどうしても、「靴を履きたい」と癇癪をおこす。
しかたなく靴を履かせ、手を握って薄暗い外に出た。
明日も早いし、眠いし、勘弁してくれよ、というのが本音。
そんな心境でいつもの公園についた時、まだぐずっていた息子が突然泣き止み、何かを見つけて、道の端に駆けていった。
しゃがみこんだ息子が手に取ったのは、黄色い花びら。
振り返った息子は満面の笑みで、その花びらを
「はい、どーど」と、私に手渡した。
あ、と思った。
何気ない瞬間。
だけど、「私の人生が終わる時の走馬灯に、この子のこの表情と黄色い花びらは、きっと登場するはずだ」と思った。
子どもが生まれてから、ありとあらゆる「ベストハッピー賞」が上書きされていく。どんなに大それた「最高の経験」も、何気ない我が子の笑顔に、いとも簡単に書き換えられる。
そうこうしている間にきっと、私の走馬灯は我が子との思い出ばかりになってしまうのだろうなと、その時に確信した。
だが、それで良い。
それがたまらなく贅沢で、ありがたい。
そう思えた自分にも、驚いたのだった。
我が子を抱く、勝倉さんが言った。
「この感情って多分、子どもでしか味わえない『何か』だと思う。この世に同じことって、無いんじゃ無いかな。チャンスがあるのにこれを体験しないのは、シンプルにもったいない」
多様性の時代。いろんな選択肢がある中で、それでも同じ母として、私も、彼女と同じように思う。
※撮影は病院の許可を得ております
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