「独身のままで、後悔しない?」どうして人は、その言葉に激怒してしまうのか。

7月12日未明、ナレソメノート編集長であるyuzukaのXが炎上。その火は燃え広がり続け、インプレッションはついに、1,700万を超えた。どうして”あの”ポストが一部の人の逆鱗に触れたのか。今回は、この炎上騒動について、ナレソメ予備校塾長のモテコンサル勝倉、恋愛心理学者の山崎を交え、徹底的に討論していく。

yuzuka まずはこちらの炎上をご覧ください。端的に説明すると、「よほど決意して独身を貫かない限り、年齢を重ねてから後悔しますよ」というポストです。前提として、このポストでは独身自体のことは否定しておらず、あくまで「なんにも考えずに選ぶと後悔するよ」という注意喚起なのですが、それが賛否両論の嵐で大炎上しているわけですよね。

勝倉 インプが化け物やん(笑)引用リツイートが地獄みたいなことになってるね。そういえば、私の方にまで燃え広がってきてたわ。

yuzuka はい。そこで分析したいのが、どうしてこのツイートがここまで一部の方々の逆鱗に触れたのか、というところです。個人を特定して叩いたわけでも、独身自体を否定したわけでもなく、「考えの甘い一部の人」に向けて投げかけた言葉に、どうしてここまで感情的に反応する人が出てくるのか。Xにいると度々ありませんか?この現象。

勝倉 あるある。そもそも今回のことに関して我々は、「後悔しないなら独身でも良い」って、何度も言ってるからね。あくまで現状悩んでいる人に向けて、「後悔する人もいるからよく考えてね」ってだけの話でしょ。それに顔真っ赤にして噛みついてくるの、「大丈夫そ?」って思う。はたから見てるとそれこそ本当は後悔していて、図星つかれてキレてるようにしか見えないんだよね。因みに炎上っていうけど、怒っている人たちの主訴はなんなの?

yuzuka 実に様々なんですよね。そもそも文章が読めていない、「独身批判をするな!」みたいなものもあれば、「私(もしくは私の周り)は30歳を過ぎても幸せだから、このツイートは嘘だ!」みたいなタイプのもの、それから「結婚が独身よりも幸せなわけがない!周りの既婚者は不幸せそうにしている人ばかりだ!」みたいなものも多いですね。

その中で多くの主張に共通しているのは「自分は『あえて』結婚しないことを選んでいて、後悔していない」という前提に基づいた、「この選択こそが合理的なことで、結婚をすすめるのは洗脳や宣伝目的で、時代遅れだ」という主張であること。「令和なのに女の年齢で価値が決まるなんて言うな!」とかもありましたね。

勝倉 なんじゃそれ。

yuzuka とは言え、彼女たちの主張が合っている可能性もありますよね。

勝倉 ないやろ!?

yuzuka いや、分かりませんよ。実は私達が知らないだけで、年齢が市場価値に影響しない可能性だってなきにしもあらず。彼女たちがあれだけ自信満々ってことは、根拠があるのかもしれないじゃないですか。だってまさか根拠もなく、自分の体験談だけで喋ってませんよね!?

勝倉 たしかに。あれだけ自信満々なんだから、私たちが知らない真実があるのかも。

yuzuka ということで、今回はXでブチギレる彼女たちの生態を解き明かし、主張の真偽をエビデンスに基づいて明らかにしていくために、恋愛心理学者の山崎さんにもご参加していただきました。

山崎 夜22時にとんでもない会に呼ばれました。

yuzuka まずは前提として、私は「中途半端な理由で独身を貫くよりも、良いお相手と結婚している人生の方が幸福度が高い」と思ってるんですけど、どうですか?

山崎 明白ですね。どのデータを見ても「独身より結婚したほうが幸せ」といえます。結婚って幸せなものなんですよ。

yuzuka これだけで記事終了でも良さそうなところですが、そんな中で彼女たちがどんなことを主張しているのか。そしてそれはどんな気持ちなのか。山崎先生と一緒に、彼女たちを掘り下げていきましょう。

「女の子達、大丈夫」って何をもって?

yuzuka 私が一番ブチギレたのは、「こんな価値観は古い!今は令和だから!信じないで!女の子たち、大丈夫!」みたいな薄っぺらいコメントですね。何が大丈夫やねん。マジで無責任なことを言って露頭に迷う人を増やさないでほしい。

勝倉 それ、めっちゃ思った!無責任になんの根拠もなく「女の子たち、大丈夫だよ」って、何をもって言ってんの?いや、仮に「世の中的にはこうだから、気をつけたほうがいいかもね。だけど私は、大丈夫だったよ」なら分かるのよ。でも彼女達って、「私が大丈夫だから、世の中的には大丈夫じゃなくても、大丈夫!」っていう無茶苦茶な理屈じゃん。勝手に独身でいるのはいいけど、現実を無視した無責任な布教活動は辞めてほしいよね。

yuzuka 私も昔はやっていたから分かりますが、あれって手軽にヒーロー気取れて気持ちいいんですよ。だけどあの言葉にはなんの根拠もないし、信じて人生棒に振っても、なんの責任もとってくれませんよ。根拠のない「大丈夫」って、放棄ですから。

勝倉 あと、「大丈夫」って何がなん?結婚しなくても幸せだよってこと?それを言ってる人が、「36、37になっても恋愛できる」とか言ってたりするけど、そもそも結婚前提ではない「恋愛」って何なの?ナンパ師の壁打ち相手になるって話?それなら別に穴があれば何歳になっても遊んではもらえるだろうけど、彼女たちにとっては本当にそれが「大丈夫」で「幸せ」なわけ?大丈夫の理屈が謎すぎるんだけど。

yuzuka めっちゃ思いました。趣味や仕事に打ち込んでいる人の「私は今の所大丈夫だよ」という体験談は、理解できるんですよ。だけど彼女たち、「恋愛ができる」って、相変わらず恋愛市場から退く気はないわけです。ああいう人の「大丈夫」の理屈こそ、50、60となって穴モテさえしなくなったら、ひっくり返るんじゃない?って。そもそも恋愛って、セックスのことをさしているんですかね?

勝倉 謎だよね。

yuzuka しかも彼女たち、それでいて「縛られたくないから結婚はしないと決めてる」とか言うんですよ。そうなるとわけがわからない。特定の恋人を作らずに遊び回ってるんなら説得力あるんですけど、恋人は作りたがる。結果ちゃんと縛られてるし、「キャリアを優先する」と言うわりに年収が低かったり、休日も自己研磨に打ち込むわけでもなくデートに消費したり、アンチエイジングに財産をつぎ込んだり。最終的には彼氏と喧嘩して「病む」とか言って、そこに心理的コストをかけるから仕事のパフォーマンス落としたりもしてるわけで。え?それ、結婚した方がよくない?って。

言ってることと実情がバラバラすぎる。

勝倉 だからこそ、ああいう人こそ「結婚しない」じゃなくて「結婚できない」んでしょ?って思っちゃうのよ。だって本気で「結婚」って制度を拒絶してるんだとしたら、「吉沢亮がプロポーズしてきても受け入れない」ってことになりますよ。「それでも結婚しない!」というなら本物だろうけど、あんたたち、どうせ受けるでしょうが。

山崎 酸っぱい葡萄理論、いわゆる合理化ですね。「選ばれなかった」にすると悲しくて受け入れられない。認知の不協和を解消するために、「自ら独身を選んだんだ」、とすり替えるんです。

yuzuka その方達の主張に多いのって、「理想の王子様なら結婚したいけど、妥協してまで結婚したくない!」だったりするじゃないですか。それって言い換えると、「理想の相手が結婚してくれない」ですからね。結局選ばれてないって話なんですよ。

勝倉 その結果が理想の相手のセフレになることなの?救えないじゃん。

yuzuka あなたが結婚を拒絶してまで守りたいものってそれなんですか?って思っちゃいますよね。

令和になっても「女は35歳以上になると選ばれづらい」

勝倉 まずはそもそも「令和だから大丈夫」とか、意味わかんないんですよ。貴方が勝手に令和の価値観をインストールして自分の中で時代設定しているなんて事情はどうでもよくて、婚活市場であなたの市場価値を決めるのは、「男」なんです。逆も然りね。

yuzuka そう。これはあくまで「婚活市場の話」ですからね。混同して「男に媚びるだけが人生か!」とか訳分からんことで怒ってる人もいましたけど、私達が話しているのは人間としての価値ではなく、婚活における「市場価値」です。当然基準は異性からの評価になりますし、妊娠の要素がある以上、年齢は大きく関わってくる。「男に選ばれるって考えが嫌!」みたいなのもありましたが、あんたたちも男、めちゃくちゃ選んでるでしょうが。弱男のことなんて、フル無視じゃない。恋愛も婚活も、選び選ばれる。これ、バチェロレッテ3の対談でも話しましたね。現実は、綺麗事だけじゃないですよね。とはいえ、山崎さん。「女性は年齢により、婚活市場での価値が大きく変わる」って、ナレソメでは当たり前のように出てくるワードですけど、これ、明確な根拠はあるんですか?

山崎 ありますね。そもそも女性の「結婚しやすさ」の条件って、ほぼ「若さと婚姻歴」だけなんです。男性の方には年齢に加えて年収や経歴などの条件が上がってくるのですが、女性はほぼ「若さ」の一点突破で選ばれる傾向にある。

勝倉 っていうか、現場にいてもひしひし感じるよね。男性が結婚相手として求める年齢って、「32歳以下」が圧倒的に多い。33を超えると、ゲームのしかたが変わってきますよ。結婚となると子どものことも視野に入れる方がほとんどですから、足切りを食うのは当然。いくら美人でも、申し込み率はガクンと下がりますね。

yuzuka それにしてもメディアって悪意ありますよね。「令和は年齢なんて関係ない。いくつになってもあなたは魅力的!大丈夫!あなたは選ばれる!」みたいに綺麗ごと発信してるところもありますけど、データを見れば一目瞭然。婚活市場で男性が高齢女性を露骨に足切りするのは紛れも無い事実ですから。なんなら自分たちも、高齢男性のことを「オジ」と呼んで恋愛対象に入れないですよね。時代が変わって慰めの文言は変わっても、生き物としての本能や、それに伴う厳しい現実はちっとも変わっていない。「全然大丈夫」だなんて、無責任な嘘すぎる。大切なのは現実をオブラートに包んで無責任に「大丈夫」ということではなく、現実を理解してもらったうえで、最適な方法を提案することだと思っています。

勝倉 あれは悪どいよね。結局それを信じて婚期を逃して現実にぶち当たってからその子達が後悔しても、なんの責任もとらないからね。

yuzuka そしてその子達が泣きながら、私たちのもとに「助けて」ってやってくるんです。結果、うちに来れば9割は結婚できますけどね。ただ、何度「あと数年早ければ…」と思ったことか。彼女たちが無責任な言葉に騙されず、もっと早くに決断して婚活していたら、お相手の選択肢はもっともっと広かったわけですから。それを「そのままでも大丈夫」ってなんやねん。ふざけてる。

「独身の方が幸せ」には根拠がない

yuzuka ところで、「妥協して結婚するくらいなら、独身の方が幸せ!」みたいな人も結構いましたよね。我々からみれば「妥協」って言葉が非常に引っかかりますが今は置いておくとして、たしかに言われてみれば、「理想の王子様に選ばれないなら独身の方がマシだよ」って可能性も無いわけではないな、と思ったんですが、このあたり山崎さんいかがですか?心理学的に見ると、人はそれでも結婚した方が幸せ、なんでしょうか?

山崎 そりゃあ幸せですよ。もちろん妥協の程度にもよりますけどね。ただここで言う妥協って、多くの人にとって「ドーパミン的に満たされていない相手」言い方を変えれば「ドキドキできない相手」みたいな人たちのことを指すと思うんです。そもそも私が持ってきている、「結婚すると幸福度があがる」みたいな論文で研究対象にされてる夫婦って、何もドーパミン的に満たされた関係の夫婦だけではないわけなんです。関係良好な夫婦に限られているわけじゃなくて、それこそ形骸化していたりとか、1年喋っていないですって人も入っている。そのうえで、「結婚した方が幸福度が高い」というデータが山ほどある。「私のまわりが」とか「Xでは」とか、その狭い世界ではもちろん人によりますが、統計という大きなデータでみると、傾向は明らかなんですよね。

yuzuka どうして「結婚」は、幸福度をあげるのでしょうか?

山崎 いろんな要素がありますね、まずはとくに多くの女性にとって、ストレス発散に貢献する要素が「いかに喋るか」であることも関係しているかと思います。これは結婚関係にも言えますが、夫婦間の幸福度が高い女性って、パートナーにたくさん話を聞いてもらっているという特徴があるんですよね。それでいうと独身でいた場合、それこそ20代30代は友人や家族と話す機会が多いですが、40代を超えてくると親が亡くなったり、周りに既婚者が増えたりして、そうもいかなくなってくる。そうなると幸福度が下がりますよね。その結果…

勝倉 Xに罵詈雑言を書き込む….。

山崎 その可能性もあると思います。

yuzuka ていうか「独身だって幸せだ!」ってキレてる人のタイムライン見にいくと、みんな地獄みたいに楽しくなさそうじゃ無いですか?それがまた説得力を無くすんですよね。

勝倉 それな。ずっと愚痴を吐き続けてるよね。不幸なら布教するなよ。

山崎 あとはね、こんな言い方をすると誤解を招きそうですが、人間の深さが違うんですよ。「結婚している人」の方が、人ひとりと深く関わっているんです。彼氏とか、同性の友人と過ごす時間が長い人よりも、当然関係構築のスキルが上がっているし、その結果人間的な深さも広がっている。そこも幸福度に繋がりますよね。それから、ジェネラティビティの概念というのがあって……。

yuzuka ジェネラリ…?なんですか?

山崎 私たち人間ってある年齢くらいから、「次世代のことを考えることが幸せになる」って性質があるんです。そういう意味でも「結婚」を通して、未来を考えたり将来思考になること自体が幸せを加速させることになります。つまりは、結婚をすれば、それだけで幸せに近づくんですよ。この「次世代意識」ってのがあるだけで、寿命まで伸びるというデータがあるくらいです。逆にこれが満たされていないとどうなるかというと、クレーマーおじさん、クレーマーおばさんの誕生に繋がります。市役所でキレてる方とか、いるでしょう。あの方達は、だいたい独身です。「接客がなっとらん!」とかね。あれに次世代意識があると、「若いけど頑張ってるな」という視点に変わるんです。

勝倉 そういえば最近ちょうど、そんなマシュマロが来てた!

yuzuka こわすぎ。

勝倉 それで言えば確かに、孫がいる人があんまり言ってるイメージないよね。結婚とか出産とかをして、世代を跨ぐことが、次世代意識を向けることに貢献するわけね。

yuzuka 結婚や出産を通して許容力が上がったというのは、私自身も日常生活で実感しますね。結婚についてのインタビューで、同じことを仰っている人も多いです。

山崎 あとはエリクソンという有名な学者が言ってるんですけど、そもそもこの「ジェネラティビティを持つ」というのは、人間としての成長課題のひとつなんですよ、つまりは人間は誰しもここを通った方が、人間的に成熟しますよって定義されてるんです。つまりは結婚をしていないひとたちは、している人たちと比べると、一歩先の視点に欠けていることになる。だから独身の人には、「大人になっているのになりきれない人たち」が多いんですよね。もちろん結婚しなければ絶対に満たされない、というわけではないです。教育現場に関わるとか、子供関連のボランティアをするとかでも、次世代を意識しますよね。ただし未婚で「本当は結婚したかった」人が気持ちよくそこに関われるかと言うと、それは疑問です。となるとやはり、「結婚が大きく貢献する」と言えるでしょうね。それに、結婚していなくても、ある年齢になると「子どもがほしくなる」って言い出す人が多いなと感じませんか?

yuzuka たしかに。「自由がいい」といって独身を選んでいた人も、ある時点から突然、「子どもは欲しい」と言い出したりすることが多いですよね。最近では「未婚でもいいから子どもがほしい!」みたいな声も目立ちます。あれは、「次世代意識を持ちたい」という無意識のあらわれなんでしょうか?

勝倉 本当に多いよね。たしかにあれ、なんで突然そうなるのか気になる。

山崎 そうです。もちろんジェネラティビティも関わってきますし、あとはエリクソンも言っているのですが、結論、「人間ってそういう作りだよね」って話なんですね。人間と言っても「生物」ですから。生きていくうちに適齢期にきたら、「子孫を残さなきゃ」って、遺伝子レベルで組み込まれてる。その本能が、20代、30代になると前に出てくるのは当たり前のことです。

yuzuka 最近はXで「なんでわざわざ結婚したいんですか?」とか「子どもを産んだ人って、なんで産んだわけ?」とか聞く人いますけど、いや、それが生物として当然の欲求だからな!?ってことですよね。理性とかいろんなもので取り繕ってますけど、全部脱ぎ捨てたら生き物。本能の部分で「結婚したい」「子どもがほしい」というのは至って当たり前の欲求で、本来そこに理由なんてないんですよ。何を言ってんねんって思いますね。

Xでブチギレる人たちの生態とは?

yuzuka ところで、ここまでは結婚の良さについて語ってきましたけど、かと言って私たちは、充実している独身女性に向けて物申しているわけではないんですよね。実際に幸せな方達はそれでいいと本気で思ってますし、私たちが問題提起しているのは、「これから後悔するかもしれない人」に向けてですから。そんな中で、なぜ個人的に言及されたわけでもない彼女たちが、あの書き込みにブチキレてしまうのかというのを分析していきたいです。

山崎 刺さってしまったんでしょうね。そのうえで、合理化という、防衛反応の一種が出ているのだと思います。我々の発信って、受け入れがたい事実であることも多いじゃないですか。私たちの言葉が刺さり、だけど受け入れられないと感じた時、人はストレス対処の方法として、合理化しようとするんです。もっともらしいこじつけを自分の中で作って、大々的にそれを発信することでストレスを発散をする。今回怒っている人の心理は、これに近いんじゃないかなと思いますね。

yuzuka それって、過去に大きなトラウマがあったわけでもないのに「男はクソだ。だから結婚は悪だ、洗脳だ」と言い始める人たちも同じ心境なんですかね。

山崎 まさしく。

yuzuka あと、私と勝倉さん、謎にネカマ認定されましたよね。「ネカマだからこんなこと言うんだ!」って(笑)

勝倉 ワイも、「非モテのじじい」とか言われた。いや、我、妊婦ぞ(笑)

yuzuka あと、レスバ(レスバトル)の末、「でもコイツ、風俗嬢だぞ!」って言いふらし始めた人もいましたね。

勝倉 「でもコイツ」が全く繋がってないよね。論文の出所、風俗嬢じゃねえし。

山崎 (笑)言い訳のひとつにしたいんでしょうね。「そういう人が言ってるから、信憑性は低いんだ」って思えれば、楽になりますから。例えば彼女たちは、この記事を読んだとしても、「これは海外の論文だから嘘だ!」とかって、そこでもまた同じように事実を受け入れることを拒否すると思うんですよ。それくらい、彼女たちにとって、「中年がはじまっても、なお、その自由がほしいか?周りに存在するか?」って言葉が、深く突き刺さってしまったんだと思います。もちろん独身の方でも後悔していない人ってのはいて、それは「学問や趣味に、徹底的に打ち込んでいる人たち」なんですけど、彼女たちは人生が充実しているはずですから、あのような反応にはなりませんよね。

yuzuka その部分にひっかかったんだ。

山崎 はい。彼女たちもここに至るまで、コストはかけてきているんです。勝手に流れてきてこうなってるわけじゃなくて、努力して、それでも結婚がうまくいかなかった、という可能性もある。その中で正論を突きつけられると、「責められてる!」と認識して、自分の人生を否定された気になるんです。あとは人って、「自分にはまだ選択肢がある」と感じていると、安心してその言葉を受け入れることができるんですね。逆に言えば選択肢がないと自覚している人は、事実を突きつけられると暴れるしかなくなります。

勝倉 それは結局、後悔をしてるってこと?

山崎 後悔はしてないと思います。ただ、彼女たちもどこかで、「うまくいかなかったな」って思ってるんです。そこを突かれたと思うから、反応しちゃうわけですよね。

yuzuka 昔の私ですね。暴れてましたもん。

山崎 (笑)彼女たちは自分たちの中で「結婚しないことを選んだ」ことにしているので、それを揺るがされそうになると不安になって、必死に否定したくなるんですよね。

中途半端な覚悟で貫いた独身」の幸せは30代で終わる。

yuzuka ちなみに、一番多かった批判でいうと、「私は幸せなんだけど!」という主張だったと思うんですね。いくらデータ上で結婚した方が幸福度が高いと示されているとはいえ、あれだけの個人がそう感じるのって、実は独身の方が幸せなんじゃないの?って思う人がでてきてもおかしくないかなと思うのですが、山崎さんはどう思われますか?

山崎 まずは結論をいうと、独身の幸福度は「おおよそ32歳まで」というデータがあります。そこまで幸せだと感じていた人も、40歳を超えると絶望し、60歳でやっと受け入れることになるわけですね。そこから思うに、今回のツイートに「私は違う!」って怒っている人というのは大きく分けて2種類いると思っていて、まずは単純に、「独身のまま35歳を超えた30代」それからもう1種類は、「今が幸せだからよくね?の20代」です。

yuzuka たしかにその層が多かった気がします。「私は37だけど幸せです!」みたいな人も多かったですね。

山崎 それでいうと実は、彼女たちが言ってるのって嘘じゃ無いんですよ。というのも30代前半までって、結婚を目指す人と、独身のままいようとする人とで幸福度が変わらないんです。それどころか30代のあるポイントでは寧ろ、未婚の方が、婚活中の人より幸福度が高いというデータもある。その頃婚活を頑張っている人と比較したとしても、そりゃあ、独身貴族で自由に遊んでいる人の幸福度の方が高いですよね。だからこのフェーズにいる人が言う、「私は楽しいし、周りの既婚者よりも幸せだ」は、あながち間違ってはいない。ただ、現実としてはこの幸福度が、そのあと見事に逆転するわけですね。私たちが訴えているのは、その先ですよね。そこから先が、絶望、のフェーズですから。30代から40代前半の人も、20代の方も、それを知らない。だから、両者とも嘘は言ってないですよね。

yuzuka なるほど。だから必死でそれを訴えてくる人たちには、30代後半くらいが多いわけですね。逆に40代以降の独身で本当に幸せそうな人って、それこそ趣味やキャリアを突き詰めている印象がありました。ああいう方達は素敵ですよね。

山崎 独身でいることの一番のデメリットって、深い関係構築の経験がないことなんですね。日本はとくに、既婚者は既婚者と、未婚者は未婚者で固まって集まる傾向にあります。となると、やっぱり年齢を重ねると、おのずとコミュニティが狭くなるんです。しかも共同生活をしておらず、会話も少ないから、他人のことを受け入れられなくなってくる。そこに打ち込める趣味や学問がないとなると、長い人生、幸福度が下がって生きづらくなるのは当然のことですね。

「結婚したいけど踏み出せない人」は、どうしたらいいのか

yuzuka いろいろ語ってきましたけど、何度も言うように、私たちは充実して独身生活を送っている人たちに噛みつきたいわけではないんです。後悔しないなら、その選択だって素敵じゃないですか。

私たちが語りかけているのはその人たちではなく、「なんとなく」で独身を選択している人たちや、本当は結婚願望がありながら、無意識に心の奥に隠してしまっている人たち。ポストにも書きましたが、「独身でいる」って、「結婚する」よりもまだまだマイノリティな選択なんですよ。だからこそ、自分の意思でしっかりと考えて決意しなければ、後悔する。しかも後悔してもその先では誰も助けてくれないし、婚活市場という特性上、あとから「やっぱり結婚したい」と気づいたとしても、その時には手遅れというのもありえるわけです。そして職種柄、そういう人たちに多く出会って、「あと数年早ければ」と思う瞬間が、多々ある。だからこそ多少キツい現実を突きつけてでも、そうなる前に気づいてほしい。という思いがあるし、「大丈夫」とかいう、無責任な言葉が許せない。

勝倉 彼女たちは、どうして踏み出せないんだろう?

山崎 まずは、「私にできるはずがない」という気持ちを持っているのだと思います。そのうえで、終結コストという概念もあります。「何かを終わらせて新しいところに進む」って、もの凄く勇気と体力がいるし、コストがかかることなんですよね。だからこそ、踏み込めない。

yuzuka DVの被害者をインタビューしたりしててもその概念に触れることがありますよね。絶対に目の前の男から逃げた方が幸せになれるのに、環境の変化にストレスや恐怖を感じ、そこに踏み止まった方が楽なのではないかと感じてしまう。その結果、殴られても殴られても、その彼と一緒にい続けてしまう。

山崎 DVでいうと、サイクルがあるところも結婚問題とかぶるなと思います。DVって、爆発期と緊張期、ハネムーン期を繰り返すんですね。殴られても優しくなるから、「あとちょっと我慢すれば、また大丈夫になる」って思い込もうとしてしまう。内心では自分が結婚したいと分かっていながらそれを押し込めるのは、まさにその心理に近い。「あとちょっと我慢すれば、また結婚したくなくなるはず」を繰り返す。

yuzuka これは結婚した今だからこそ思うことですが、「結婚」って、そんな大それたものじゃないですよ。幸せになるための手段ではあるけど、手段でしかない。結婚したからといって、突然生活が劇的に変化するか?というと、そんなことはないんです。勇気を持って踏み出せば、案外何も変わらない。変わらないけど、その先にある未来は確実に変わる。それも、良い方に。私はやっぱり、後悔するくらいなら踏み出してほしいなって思いますね。

勝倉 「動いたら良い結果が出る」って、これだけのデータが言ってるわけじゃないですか。それなら、迷う前に動けば良いと思うんですよ。私はみんなに後悔してほしくないし、パートナーと一緒に幸せになってほしい。不安かもしれないし、怖いかもしれない。でも、とどまっていても後悔と不安からは逃げられない。私たちはそれらを乗り越えて幸せを手にした人たちを、何百人も知っている。

年齢に対して、私は普段シビアできついことも言いますけど、本心としては「気付いた時から始めたらええやん」と、思ってるんです。「そうか、結婚した方がよさそう!」と思うなら、いつからでも応援するし、誰にだって幸せな結婚はできると思ってる。実際私の担当している方にも、40代以上のお客様はいますしね。

私たちの声が届かない人はしかたないけど、もし聞こえた人がいて、何か響いた人がいるなら、結婚は悪くない。そして、「あなたにもできる」。これを伝えたいですね。

Xで炎上した時、私はいつも、黙ることを決めている。

なぜならある一定のラインを超えると、「お話にならない」人たちで溢れかえり、そこに向き合ったところで体力を消耗してしまうだけだから、である。

元風俗嬢のくせに、ネカマ、ヤリ⚪︎ン。

溢れかえる下品な誹謗中傷に、全く傷つかないわけではない。

それでも私は今回、「気づいてくれ」と、叫び続けた。不毛なリプライにも返信し、徹夜でこの記事を書き上げ、火に油を注ぎながらも尚、まだ「気づいてくれ」と叫び続けている。

「どうしてそこまで、必死になるの?宣伝のため?」

なんて言う人がいるが、本当に宣伝だけのためなら、こんなにわりに合わない方法を選択するだろうか?

では、どうして我々は、ここまで必死に訴えるのか。

それはみなさんより、ちょっと多くの未来を知っているから、である。

我々は、結婚したいと思った時にできない苦しみを、後悔を、知っている。

しっかり考え抜いたうえで独身を貫くのは、止めない。それも、幸せな人生の選択のひとつだから。

しかし、もしも少しでも迷いがあるのなら。この記事を読んで、揺らぐ思いに気づいたのなら。

結婚について、もう一度考えてみてほしい。

「結婚」って、あなたが思うほど、悪いものだった?

婚活の現実は、どこのフィールドに行ったって同じ。

厳しい言葉を伝える私たちのやりかたに共感ができないのなら、極論、我々のもとに来る必要はないし、来てほしくもない。だけどそんな人も含めて、手遅れになる前に、なにかしらの行動には移して欲しいな、と思う。

それが「独身について考えること」でも、「結婚について考えること」でもいいから。

あなたの人生の責任をとれるのは、あなただけ。

私たちはここから、それぞれにとってベストな選択がとれることを、祈っています。

執筆/yuzuka 

モテコンサル勝倉のX

恋愛心理学者山崎のX

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