中居正広氏の性的トラブル騒動から見える、中居氏が「拗らせた」原因とは?【バズ会議】

全盛期、誰もが憧れた国民的アイドル、元SMAPの中居正広氏。
SMAPの解散後もその勢いは止まらず、MCとして数々の冠番組を持ち、芸能界の第一線で活躍し続けていた。
テレビをつければ必ずと言っていいほど目にする存在。

ネットでも、「中居くんは頭がいい」「気が利く」「芸能界でいちばん信用できる男」と、称賛の声が止むことがなかった。

……それが、今ではどうだろう。

  • 気持ち悪いLINE
  • 雑な手口で女性を口説こうとする姿
  • 不同意性交の疑惑
  • 次々と出てくるセクハラまがいの証言たち

もはや「伝説のMC」という過去の栄光より、「あの事件の人」という印象のほうが強くなりつつある。
かつては女などくさるほどいたはずの男が、どうしてここまで悲惨な姿に成り果てたのか。

実はこのテーマを語るうえで、我々にとってはどうしても外せないポイントがある。

それは、「中居正広はずっと独身だった」、という事実だ。

俳優・武田鉄矢氏も今回の騒動について「中居氏は独身だった。親身な身内がいれば態度は変わっただろう」とコメントしている。
一昔前、お笑いコンビナインティナインの岡村隆史氏が女性に対する“失言”で大炎上したときも、相方・矢部浩之氏から浴びせられた言葉は「いいから結婚しろ」だった。

つまり、これらのケースは我々が日頃から提唱している「45歳以上の独身は、狂う」説をまさに裏付けるような出来事なのだ。

もちろん、「結婚していれば全ての問題が防げた」とまでは言わない。
事実、既婚者でありながら問題を起こした男性芸能人はたくさんいる。
ダウンタウン松本人志氏、アンジャッシュ渡部建氏、元ジャングルポケット斉藤慎二氏……。
結婚が制御装置にならなかったケースも山ほどある。

だが、それでも声を大にして言いたいのはこれだ。

「誰にも止められない中年男ほど、怖いものはない」

特に成功者ほど、自分の中のルールが「社会のルール」になってしまいがち。
誰も怒らない、誰も指摘しない、気づいたら“裸の王様”になっている。
結婚とは、そんな男に対し「日常的にフィードバックを与えてくれる“制御装置”」ではないのか。

今回の記事では、「もし中居氏が結婚していたら、何かが変わっていたのか?」という仮説をもとに、結婚がもたらす抑制力、そして“それでも結婚では防げないもの”について、恋愛心理学的観点から解説していく。

彼が狂い始めたのは、いつからだったのか?
それは、誰にでも起こり得ることなのか?

そして、「結婚」があれば、どこまで抑止力になったのか?

あなた自身の問題として、少しでも考えるきっかけになればと思う。

中居氏は「暇すぎた」。その心は?

yuzuka:さて、久しぶりの炎上会議、もとい「バズ会議」のテーマは、
「中居正広は、どうしてああなってしまったのか」。
まさかのテーマすぎて、ちょっと動揺してますが、早速始めていきたいと思います。
本日はこの火種をXでまき散らしていた、バズ会議の発起人・勝倉さんに来ていただきました。

勝倉:よろしくお願いします。

yuzuka:そして今回は、専門的な見地からコメントをいただくために、恋愛心理学者の山崎さんにもお越しいただきました。

山崎:とても怖い会ですね……。

yuzuka:ではまず、今回の「バズ」の内容を振り返っておきましょう。
国民的アイドルグループ「SMAP」の元メンバー・中居正広氏が、性暴力の加害者として報じられてから約2か月。
フジテレビと親会社が設置した第三者委員会が3月31日に公表した調査報告書は、なんと390ページ超。
その中には、中居氏がねっとりと“オジムーブ”を繰り出しながら、被害女性をじわじわと誘い出し、事件に至るまでの一部始終、そして火消しに右往左往する姿が、克明に記されていました。

かつては“中居くん”と慕われ、MCとして数々の番組に引っ張りだこだった彼が、なぜ無様にも、ここまでの転落劇を演じることになったのか。

その問いに対して、多くの著名人がコメントを寄せる中、特に注目を集めたのが、俳優・武田鉄矢氏(75歳)のひと言です。

「そのときに誰かがそばにいるかいないかが、運命の分かれ道になる。やっぱり独身だったっていうのがね。親身な身内がいれば、態度はずいぶん違っただろうと思います」

この発言に対して、ネットはすぐさま炎上。

「結婚関係ある?」
「論点ズレてる」
「性暴力の話に“結婚”を持ち込むの、時代錯誤すぎる」

いつもどおりの非難ごうごうで武田さんはキャスター就任初日に「引きずり下ろせ」ムードにさらされ、まさに人生波乱万丈です。

さて、この騒動についてですが、私たちとしては、こう疑問を呈したいと思っています。

「いや、その発言、そんなに的外れか?」

もちろん中居氏の件について、「結婚していなかったから」が全ての原因だとは思わない。
内容が複雑なので、どこまで書くか、どのように触れるかは慎重に考える必要がある。

しかし、「なぜこうなってしまったのか?」という視点で見れば、「もし結婚していたら何かが変わったのでは?」という思いは捨てきれない。
ということで今回はこの問題提起を出発点に、3人で「中居氏はどうしてこうなってしまったのか」を掘り下げていきたいと思います。

ではまず、勝倉さん。中居氏の一連の行動をどう見ていますか?

勝倉:最初に思ったのは「この人、めちゃくちゃ暇なんだな」ということでしたね。
金も名声も手に入れて、仕事も充分。なのに、日々の行動があまりにも空虚。
執拗に女の子を呼び出して飲もうとしたり、BBQやろうとしたり。人をだましてまで、そんなことに必死になってる。
それってけっきょく「リソースの注ぎ先が見つかってないからなんじゃないの?」ってのが、私の感想です。

そこで思うのは、けっきょく男って、健全なエネルギーの注ぎ先がないと、不健全な「酒・女・ギャンブル・薬物」のどれかに行きがちなんですよね。
逆に言えば、家庭があればそのリソースは妻や子どもに向かうことが多い。
そこにうまく注ぎ込めばサンクコストが発生して、「この存在を守らなきゃ」という意識が芽生えるから、それが、結果として異常行動のブレーキになると思うんですけど、彼にはそれがないから、例のとおり「酒と女」に走った。

だから私は、「中居氏がもし結婚していたら、今回の件は防げたんじゃないか?」と思わずにはいられません。
あの地位の人間が、必死にLINE送って、うそついて、若い女子アナをどうにかしようとしてる姿。結婚して、守るべきものがあったら、そんなリスクを冒すようなまね、彼はしなかったんじゃないかなって。

yuzuka:私も報告書を読んだ最初の感想が、「中居氏、暇すぎん?」でした。
冠番組をいくつも持つようなトップスターが、「女の子と飲みたい」とか「BBQやろう」とか、子分みたいな人たちにちまちまメッセージ送って、あらゆる手を使って女性をおびき寄せている。
言い方悪いけど、やってることはその辺の“勘違いオジ”と大差ないですよ。

で、なんでこんなにも暇を持て余して、女性を引き寄せるのに執着してるのかって考えたときに、やっぱり思い当たるのは「家庭がないから」なんですよね。

勝倉:そう、それなんですよ。

yuzuka:山崎さん、心理学的には今回の件、どう解釈していますか?

山崎:私が強く感じたのは、「彼は誰からも深くモニタリングされていなかった」ということですね。
結婚していると、「奥さんが嫌がるからやめよう」とか、「家庭があるからむちゃできない」という“逃げ道”が自然にできる。
それが結果的に、“向社会的”な行動に繋がることが多いんです。逆に、その言い訳すらない人間は、欲望に従い、思うがままに反社会的な行動をしてしまう。
今回の件は、まさにその典型だと思います。

中居氏は、どうしてこんなにこじらせたの?

yuzuka:にしても、中居氏って、結婚に対してかなりこじらせた発言が多いですよね。

「結婚は刑務所」「たとえ結婚しても絶対別居」「東京に住むなら相手は川崎」
(中居正広“独特”すぎる結婚観を告白 別居は絶対、さらなる条件に共演者「ちょっと待ってよ!」― スポニチ Sponichi Annex 芸能)

「夕方にご飯作りに来て、夜までには帰ってほしい」
(中居正広“独特”すぎる結婚観を告白 別居は絶対、さらなる条件に共演者「ちょっと待ってよ!」― スポニチ Sponichi Annex 芸能)

もう、こじらせ独身のテンプレ発言ですよ。
これって別に中居氏だけじゃなくて、ある程度年齢と地位がある独身男性がよく言うやつだなって思ってるのですが、どうしてハイスペ独身貴族って、ああもこじらせがちなのでしょうか?

山崎:彼らに共通しているのは、「結婚におけるギブアンドテイクの“ギブ”を間違えてる」ところだと思いますね。
「こっちは知名度も金もあるんだから、それくらいの“テイク”があって当然でしょ?」という考えが前提になってる。
中居氏も、たぶんそうだったんじゃないかな。
で、そういう人って深い人間関係の“壁打ち”ができていなかったのかもしれない。
仕事関係者は彼の結婚観や恋愛観にマジレスするメリットはないだろうし、マジレスを受けることは多くなかったんじゃないかなと。そうなったら、そりゃ変な方向にもいきますよね。

彼に限らずですが、金や地位にものを言わせて恋愛してきた人って、パートナー選びも、関係構築もズタボロなんです。
中居氏からも、そういう匂いは強く感じますね。

yuzuka:報告書を読んでても、「この人の周囲には本音で向き合う人がいなかったんだな」って、ひしひし伝わってきますよね。
「いや、今の時代にそれはやばいよ」とひと言言ってくれる人がいたら、結果は違ったかもしれない。

そういえば私たちの連載『結婚の哲学』でも、芸人のチュートリアルの福田さんが似たようなこと言ってましたよね。
「結婚してなかったら、自分もどこかで暴走してたかもしれない」って。

福田さん:正直、もし今の奥さんと結婚していなかったら、僕は今の年齢でもずっと独身のままだったと思うんですよ。それを想像すると…ちょっと怖いですね。

yuzuka:どんな怖さを感じますか?

福田さん:生活がめちゃくちゃになってたんちゃうかなって(笑)。規則正しい生活とか一切できませんし……あとはなにより、自分に対してちゃんと言ってくれる人がいなくなるというのは大きいですね。

yuzuka:奥様からのマジレスですね。

福田さん:そうそう。この年になってくると周りは年下ばかりやし、50代のおっさんには誰も注意してくれないんですよ。「それはあかんで」って、客観的な意見で注意してくれるのって奥さんだけなので、そこはすごく感謝しています。いなかったら……と想像すると怖いですね。

yuzuka:確かに……。結婚をしていないと思想が偏っていくというのは、Xを見ていても思います。

引用:【チュートリアル福田】結婚とは、「助け合い」。1人って、いつか飽きてこうへん?vol.4

山崎:年齢を重ねる中でもマジレスをしてくれる存在を意図的に近くに置くことは、人生においてとても重要なことですね。

中居氏は結婚していれば事件を起こさなかったの?

yuzuka:さて、こんなことを言うと炎上しそうなんですけど、彼らの行動って、昔はある程度“許されてた”と思うんですよね。
実際に、私の友人にも過去に彼らと遊んだことがある人がいて、みんな口を揃えて「楽しかった」って言ってたのを鮮明に覚えていて。それって、やっぱり時代もあるんじゃないかなって思うんです。

と言うのも、私の世代って、まさに彼らが「現役アイドル」だったわけですよ。
それに加えて、「芸能人ってこういうものだよね」みたいな、ある種の“暗黙の了解”があった。
でも、今は明確に時代が変わった。
彼らもオジサンになって、今の若い子たちからすれば、明らかに恋愛対象としては“落ち目”だし、「芸能人だから破天荒でも受け入れられる」なんて空気、とっくになくなりましたよね。

でも、彼ら自身がその変化に気づけてないと思うんです。だって、マジレスしてくれる人がいないから。
彼らはずっと、一昔前の自分と時代を生きてる。ある種の“裸の王様”なんですよ。
その価値観のままで他人と関わろうとしたら、そりゃこうなりますよね。

今回の件に限らず、パワハラ・セクハラ・失言って、もちろん良いことではない。
でも、「昔は許されてたこと」っていう側面も確実にあって、そこからアップデートできてないと、今の時代では通用せずに、最悪なケースでは今回のような「事件」となる。

私、この時代感の“アップデート”について、独身の人、特に男性って本当にできてない人が多いなって思うんです。
自分が扱いやすいバージョンのままで止まってて、更新されてない。
だからこそ、彼らにマジレスしてくれる女性がそばにいたら、なにか変わったかもしれないなって、そう思わずにはいられないんですよね。

山崎:確かにそうですね……。

yuzuka:とは言え、ですよ。じゃあ「中居氏が結婚していれば今回のような事態は防げたのか?」と聞かれたら、やっぱり疑問が残るんです。実際、既婚でも破天荒な人は山ほどいるわけですから。

勝倉:中居氏の話でよく引き合いに出されるのが、ダウンタウンの松本氏のケースだよね。

yuzuka:それについて、勝倉さんはどう見ていますか?

勝倉:うーん、あれは単純に、嫁がグリップできてないと見てるけどね。
結婚って、すればそれで万事OKってものじゃない。あくまで「抑止力になり得る」だけ。
もし中居氏が、今のままの価値観で、相手の選び方も変えずに薄い関係性のままで結婚してたら、それこそ松本氏ルートになってたと思う。
グリップできない嫁と結婚して、マジレスも無し。あるいはあっても響かない。そんな関係だったら、いくら結婚してても、なんにも変わらないですよね。

山崎:私もそう思います。今のままの中居氏が結婚だけしていたとしても、本人が言っているように「飯だけ作れ」「川崎から通ってくれ」みたいな要求しかしていなかったでしょうし、浅い関係しか築けなかっただろうと推測します。
その結果、やっぱり好き勝手やって、事件を起こしていたのではないでしょうか。

彼に必要だったのは、「ただ結婚する」ことではなくて、「1対1の人間関係を築いてから結婚する」こと。
その順番が唯一のハッピーエンドルートだったのかもしれません。結婚のメリットって、「グリップされること」ですから。

yuzuka:そういえば、コロチキ(コロコロチキチキペッパーズ)のナダルさんに「なんでようやくモテはじめた今、結婚したんですか?」って聞いたことがあって。
そしたら彼、「自分を制御するためでもあった」って答えたんですよね。

もちろん、ご本人の著書にもあるとおり、奥様のことが大好きなのは大前提。
でも私、彼にその話を聞いたときに、「ナダルさんは『この人だ!』って思った人に、『手綱を握ってもらおう』ってちゃんと決意できたんだな」って感じたんですよ。その感覚、すごく大事だなって。
はちゃめちゃできる立場の人ほど、ちゃんと自分を制御してくれる人に、早めに手綱を渡す。それができるかどうかで人生が左右される。

でもそれって、誰でも気づけることじゃないし、そもそも良い人に出会えるかっていう問題もある。中居氏は、いったい誰に手綱を渡せば、平和に引退できたのか……。

山崎:彼みたいなタイプは、売れる前に結婚しておくしかなかったのかもしれません。
売れて肥大化された“武器”で錯覚が生まれる前に、素の自分を知ってくれている相手と結婚しておくことが大事だったんだと思います。

yuzuka:つまり「地元の女」ですね。

勝倉:でも、ほんとにそう。彼クラスになると、女性側にも相当な力量がないとグリップできない。
売れてから出会っちゃうと、どうしても上下関係が固定されやすいからね。クロちゃんとリチちゃんも、そういう関係の築き方だったよね。

山崎:下から入って、徐々に上に立つ。それって、相当上手な女性じゃないと無理ですよ。

yuzuka:言われてみれば、ある程度権力がある中で結婚してうまくいってる男性って「売れる前から一緒にいたパートナー」と結婚している人が多い気がします。
逆に、売れる前から支えてた人を切って、ぽっと出の“ゆるふわ女子”と結婚した男性って、けっきょく破天荒なままなことが多い印象。

勝倉:確かに。それか、キムタクパターンもあるかもしれないね。
彼の場合は、自分から工藤静香さんにアプローチしたんじゃないかな? 最初は工藤静香さん側が全然相手にしてなかったっていうの、桃井かおりさんがトーク番組で話してた気がする(笑)。
彼はきっと工藤静香さんのことをすごく尊敬していて、「この人だ」って思って、アイドル全盛期だったけど自ら行動したわけで。
中居氏も、そういうふうに“自分がファンになれるような女性”に頼み込んで結婚してたら深い向き合い方ができて、違う未来があったかもしれない。
でもな……無理だったんだろうな。

yuzuka:どうしてそう思いますか?

勝倉:おそらく彼って感性がヤンキーで、湘南の男だと思うんですよ。
今回の件も、明らかに「自分にとってコントロールしやすい年下の女の子」に手を出してる。手綱を握ってもらえるわけがないし、握られないようにしてますよね。
そうなるともう、“山に解き放たれた野犬”みたいなもんですから。中居氏は、正しい飼い主を見つけられないまま、狂犬になってしまったんです。
強い犬ほど、ちゃんと繋がれてないとダメ。家庭という鎖が必要。パワーのある犬であればあるほど、首輪をつけてもらわないと、自分の人生を制御できないのに、彼はそういう存在を見つけられなかったし、見つけようとしなかった。

yuzuka:なるほど。じゃあけっきょく、彼が「こうならない」ためには、どこを変えれば良かったのでしょうか……。

勝倉:話してて思ったのは、もう彼は、ジャニーズに入った時点で終わってたんじゃないかなって。そこに入った時点で、ここまでは既定路線だった気がします。
メタ認知力があるタイプにも思えないし、「湘南の男」の感性のまま誤った武器を持って、軌道修正が効かなくなったパターン。

yuzuka:ってことは、彼が「こうならない」未来を選ぶには、「ジャニーズに履歴書を送らない」しかなかったってことか。

山崎:悲しいですね……。

45歳独身狂う説は本当か?

yuzuka:さて、ここまでは中居氏についてを中心に話してきましたが、そもそも私たちが今回ここまで反応したのって、「45歳独身狂う説」があったからじゃないですか?
中居氏も52歳。ばっちりこの説の対象に当てはまりますよね。
ネットでもまことしやかに語られ続けているこの説、「人は45歳になっても独身のままだと気が狂う」というものなんですが……これって実際、本当なのでしょうか?

山崎:本当……だと思いますね。
実際、既婚者と未婚者の幸福度の差って、はっきり出てるんです。特に30代後半〜40代で、ガクンと差がつく。

この図を見てほしいんですけど、未婚者はちょうど45歳辺りで幸福度がストンと落ちてるんですよね。

引用元:Stutzer, A. & B. S. Frey, (2006). Does marriage make people happy, or do happy people get married? Journal of Socio-Economics, 35, 326–347.

yuzuka:怖すぎやろ。でも、どうしてここまで、未婚と既婚で幸福度の差が出るのでしょうか?

山崎:いちばん大きいのは、男性ってストレスの解消源を“配偶者”に強く依存する傾向があるんです。
女性は旦那さん以外でも、例えば女友達とのおしゃべりとか、ストレス解消の外注先を持ってる。
でも男性は、奥さんからしか得られない種類のサポートがあるんですよ。その独自性の高い「避難先」を持っていない状態が何年も続くわけですから……そりゃあ、おかしくなる可能性は高いと思いますよ。

yuzuka:なんで男性は、奥さんじゃないとダメなんですか?

山崎:いちばんの支えを、奥さん以外からは得られない社会に立たされているから、ですかね。
45歳にもなると会社でも中間管理職以上になって、責任も重くなっているケースが多い。
男友達と飲みに行っても、常に“オチ”を求められるし、ただただ弱音を吐いたり、愚痴ったりするだけでは終わらせてもらえないわけです。
女性は、ただ女友達と話すだけでもリセットされるんですけど、男性はそれができない。そもそも、交友関係も女性に比べて少ない傾向にありますしね。

そうなって手っ取り早くストレスを解消しようと思ったら、けっきょく先ほど話題に出たような「酒・女・ギャンブル」しか見当たらなくなってしまうのもうなずけますよね。

 yuzuka:なるほど…。突然ですがここで、ChatGPTに調べてもらった「独身でいることによるデメリット」も読み上げてもらいましょうかね。

……すごいボリュームだ。良いこと、1つもないやん。

勝倉:こわ。1日にタバコ15本ってインパクトでかすぎ。

yuzuka:でも、これを見ても正直、全く不思議に思わないんですよね。
20代・30代は周りも独身だし、仲間もいるから「酒・女・ギャンブル」だけをやってても孤独を感じにくい。
でも、2020年(令和2年)の国勢調査によれば、45〜49歳男性の未婚率は27.2%。つまり、7割以上は結婚してるわけで。
そうなると、社会との“プライベートな接点”って急に減るんですよ。
そこから孤独感が深まってしまえば、Chat GPTが挙げてきたようなことが起こると言われても、正直「そりゃそうだよな」と思ってしまいます。

山崎:そもそも、男性は女性に比べて交友関係が少ないという前提があります。それに加えて、社会的なつながりを意識的に構築してこなかった人が多い。
その中で奥さんもいないとなると、最終的には「自分の頭の中で、自分とだけ会話してる」状態になりますよね。それが続けば……妄想が始まって、狂っていくのは想像にたやすい。

勝倉:こわ……。1人『キャスト・アウェイ』ってわけでしょ? ボールに顔描いて……つながってるようで、実は誰ともつながってない、孤独の極み。もはや妄想では……?
※キャスト・アウェイ:飛行機事故で絶海の孤島に取り残された男の物語。ロバート・ゼメキス監督作品。2001年。

yuzuka:それでも自ら「孤独」を求める人はいますよね。

山崎:そう言えば、「感覚遮断実験」って知ってますか?
“ストレスフリーは本当に幸せなのか?”を検証するために、視覚・嗅覚・触覚を遮断して、被験者にひたすら寝てもらう実験があったんですが、けっきょくほとんどの人が早々にギブアップしたらしいんです。
「誰か話しかけてくれ! もう耐えられない」ってなったり、幻覚や幻聴が起こったり。

つまり、人間って「ストレスゼロ」が本当に幸せな状態ではないんです。ストレスゼロがストレスになるよってこと。
だからむしろ、ある程度の刺激や“やいやい言ってくれる存在”があるほうが、精神の安定には良い。
その適度な刺激がなくなると、じわじわ壊れていくわけです。
だけど気づけてない人が、孤独や独身を選ぶのかもしれないなって、思いますね。

yuzuka:確かに、「独身貴族」とか言われる人たちって、むしろ「干渉されないこと」を最上位に置いてる節がありますよね。
中居氏の例でもそうだけど、「結婚は干渉されるから嫌だ!」って、自分のテリトリーを死守しようとする。

でも、ここで不思議なのは、そういう人に限って恋愛はしたがりますよね。干渉されたくないなら孤独でいればいいのに、めちゃくちゃ寂しがって女の子は欲しがる。
あれってめちゃくちゃ矛盾している気がするのですが、どういう心理なんですかね?

山崎:自分で気づけてないんですよ。「自分は“干渉”という名のストレスを求めているんだ」ってことに。
人間には、“心地よいストレス”っていうのが確かにあるんですよ。それに本質的に気づけないから、ひとときの浅い恋愛ばかりを求める。
でも、実際に心は満たされないから、刺激を求めて繰り返し、エスカレートしていくわけです。結果として、孤独も解消されないし、精神も安定しない。

結婚=ストレスだ、と決めつけてるけど、そもそもそれを経験すらしていない人が、「結婚なんて無理」と言ってることがほとんど。
確かに、バツイチの人が「もう結婚はいいかな」って言うのは本音かもしれない。
でも、結婚経験がない人の「結婚したくない」は、ただの自己流の決めつけですよね。

yuzuka:こうなってくるともう「黙って結婚しときなよ」って声をかけたくなりますね……。

どんな結婚なら狂わないの?

yuzuka:さて、ここまでは「45歳独身狂う説」の信ぴょう性について話してきましたが、最後に扱いたいテーマは、「じゃあ、どんな結婚なら狂わないのか?」です。

確かに、結婚と独身を比較すれば、独身のほうが狂いやすいというのはデータ的にも明らか。
でも、結婚していても狂ってしまう人って、やっぱりいるわけですよね。
私たちも常日頃から、「誰とでも結婚すればいいって話じゃない」という発信をしていますし、実際結婚は相手選びが全て。そこしだいでは地獄にも天国にもなり得るわけです。

じゃあいったい、「狂わない結婚」ってなんなのか。
中居氏のようなケースも踏まえて、今日は山崎さんに聞いてみたいです。

山崎:うーん、これは私の持論も入りますが、けっきょく「同格婚」がいちばん崩れにくい結婚だと思うんですよね。
例えば中居氏で考えてもそうで、もし彼が相手を探すとしたら、「結婚時点で同格もしくは相手が格上」っていうのが、けっこう大事な気がします。
実はナレソメ総研のデータでも、「夫婦の学歴差があると、男性の結婚満足度が比較的低い」という傾向が出ていて。
特に、男性側の学歴が上の場合、男性本人の満足度が低くなるんです。逆に奥さんの学歴が上の場合は、男性の満足度が高くなる傾向があるのもおもしろいんですけど。

でもこれって、さっきの話にあった「手綱を握ってもらえるか」に直結してるんだと思います。
女性が男性をグリップできる関係じゃないと、結婚ってうまくいかないんじゃないでしょうか。



出典:ナレソメ総研

yuzuka:なるほど。つまり、男性が“尻に敷かれる”関係性が大切ってことですね。
確かに……周りを見渡せば、その力関係の夫婦のほうが、うまくいってる気がする。

勝倉:でも、“尻に敷かれる”って、心理学的にはどういう状態なの?

山崎:あれって実は、「受容されている」状態なんですよ。
尻に敷かれるって、言い換えれば「しょうがないわね」で許されている状態なんですよね。
社会人として生きてると、基本的に「しょうがない」では済まされない。ミスしたら怒られる、責任を問われる。
だけど、奥さんだけは「しょうがないわね」って言ってくれる。
つまりは、尻に敷かれるというのは、「無条件に受け入れてもらっている」のと同義なんです。これを、「避難所機能」と呼ぶことがあります。

「あんたはダメなんだから」って言いながら、サポートしてくれる。それって、けっきょく「受容されている」証拠なんですよ。
男同士の会話って、「うちの嫁は怖くてさ〜」って話す人が多いんですけど、あれって実は“のろけ”ですから。
だってみんな、ちょっとニヤニヤしてるでしょ?

勝倉:飼い主自慢みたいなもんか。「俺の飼い主、最強なんだぜ」っていう。

山崎:そうそう。「こんな最強な飼い主に受容してもらってる俺、すごいだろ?」って感じです。

yuzuka:ってことは、「狂わない結婚」をするには、男性側が尻に敷かれる構造じゃないとダメってことですね。

山崎:そうなりますね。
ただ、ややこしいのが、恋人関係のときは「男性が格上」のほうが満足度が高いんです。でも、結婚となると一転して「同格」か「男性が格下」のほうが満足度が高くなる。
この切り替えができない人が多くて、それが結婚してからの“狂い”につながるんです。

勝倉:なるほどね。それに気づかず恋愛の延長でいっちゃう人が続出。恋愛感覚のまま結婚に突っ込むから、結婚してもけっきょくおかしくなっちゃうわけだ。

yuzuka:確かに、自分よりも下に見ている“ゆるふわ女子”と結婚しても、手綱は握ってもらえないですもんね。そうなると、抑止力にはならない。

言われてみれば、ハイスペ男子で結婚生活がうまくいってる人って、それまで“メンヘラゆるふわ女子”とさんざん付き合ってきたくせに、結婚は急に“育ちのよいバリキャリ女子”とした……みたいなパターン、めちゃくちゃ多い気がします。
なんかあれって、本能的に分かってるんだなって思っちゃう。

勝倉:『バチェラー』の黄皓氏とか、まさにそれじゃない? バチェラー時代には、めちゃめちゃ下から来てくれる奥さんを「選んで」失敗して、今は自分から求婚した女性に尻に敷かれて、うまくやってる。
けっきょく、下から来てくれる女の子の中から“選ぶ”のは、ダメなんだよね。男は、苦戦しながら“狩り”にいったほうが、幸せになれるわけよ。

yuzuka:恋愛と結婚の違い、分かっていないと痛い目を見そうですね。

まとめ

yuzuka:さて、最後にまとめてまいりましょう。
本日いろいろと話してきて、やはり中居氏の件についても、「結婚」があれば抑止力として働いた可能性は大いにあった。
これが、私たちの結論となりそうですが、勝倉さん、どうですか?

勝倉:そうだよね。でもね、話してて思ったのは、「中居氏、そりゃこうなるよな」ってこと。
だって中居氏みたいな人って、金も権力もあるわけでしょ。そういう人って、刺激を求めてどんどんエスカレートしていくわけじゃん。
それも、どこまでも突き抜けていける。普通の人は、途中でどこかに制限がかかるのよ。お金が尽きるとか、周囲が言うことを聞かなくなるとか。
でも、中居氏みたいに全方向から肯定されてると、ストッパーがゼロになる。そうなったら、なにか事件を起こすとか、逮捕されるまで行ってしまうのも、なんにも不思議なことじゃない。

そう言えばね、今回の件で私がふと思い出していたのが、アンジャッシュの渡部氏なの。
この話で結婚の話を持ち出すと、「渡部は結婚してても狂ったじゃん!」って言われそうだけど、私としては逆なんだよね。

「もし渡部氏が結婚してなかったら、あれで済んだと思うか?」って、みんなに考えてほしい。
渡部氏の奥様・佐々木希さんは、もともとヤンキー出身で芯がある人。
あの件でしっかり“しばいて”落ち着かせたからこそ、彼はテレビに戻ってこれた。スキャンダル後、活動休止に追い込まれ、収入ゼロの中、希さんは仕事を増やして家庭を支え、夫を経済的にも精神的にもフォローした。

それがあったから、彼はまたテレビに復帰できたわけで。結婚してなかったら?……正直、もっと怖いことになってたかもしれない。
「多目的トイレ不倫」で止まったからよかったけど、ストッパーがなかったらあのまま転がり落ちて、それこそ事件を起こしたり、逮捕されていた可能性すらあると思うんだよね。

yuzuka:なるほど……。

勝倉:だから、私はあえて言いたい。「病気と犯罪者になりたくなかったら、結婚しろ」って。
炎上しそうだけど、データを見れば、結婚によってリスクを軽減できるのは事実なんだから。

yuzuka:炎上しますよ。やめてください(笑)。

勝倉:だって本当だもん(笑)。それから、今回の件でいちばんモヤッとしたのが、武田鉄矢氏のコメントに対して「結婚してたら変わったなんて、昭和的で情けない」って言ってた人たちかな。

いやいや、それって平成的な“結婚観”のまま止まってる人のセリフじゃん、って思う。
今は令和。結婚の価値は、もう一段階アップデートすべきなんですよ。

結婚って、ただのライフイベントじゃなくて、“ストッパーを設置する行為”でもある。
しかもそれが適切な相手との関係であれば、メンタル・モラル・行動、あらゆる暴走にブレーキをかけてくれる。
結婚することによって、人はある程度まともでいられる。そういう側面があることに、もう少しみんなが気づいてほしい。

だから私は、今回の件を通じて、あらためてこう思いました。
「結婚、もっと前向きに捉えていいんじゃない?」って。
結婚に否定的な皆さんも、ぜひこの機会にもう一度、考えてみていただきたいですね。


中居氏の件について、「独身」という要素がどれだけ影響していたのかは、正直なところ分からない。 そして、日頃から私たちが発信しているように、「結婚さえすれば全て解決する」なんて、人生はそんなに単純でも甘くもない。

でも一方で。
もし彼のそばに、正しい価値観を持って、マジレスしてくれる誰かがいたら。

 彼の「今」は、少し違っていたのかもしれない。
傷つく人が、いなかったのかもしれない。
そう思わずにはいられないのだ。

だからこそ、「俺は独身で行く」と決めている人にこそ、今回の件をきっかけに、少しだけ立ち止まって自分自身を振り返ってみてほしいと思う。

あなたの価値観は、アップデートされている?
あなたの周りに、マジレスしてくれる人はいる?
あなたをまるっと、受容してくれる人は?

あなたは、大丈夫?

yuzuka